うちだまさみの本音でトーク!! IPO社長訪問

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Guest Profile

羽鳥 兼市(はとり・けんいち)

株式会社IDOM 名誉会長
事業内容:自動車の買取事業、自動車の販売事業、その他自動車流通に関わる事業
所在地 :東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディング25階
設立  :1994年10月
URL   :http://221616.com/idom/

インタビュー世界で戦う土壌を整備 さらなる成長へ。未来へ「挑む」

1.無我夢中だからこそ100%以上の力が出せる

フルマラソンやウルトラマラソンに挑戦する経営者は多くいるが、その中でも、ガリバーインターナショナル(現IDOM)を創業し、現在、名誉会長を務めている羽鳥兼市氏は別格だ。70歳でパリから北京までのユーラシア大陸と、北海道から東京までの全1万3352キロを自らの足で走破。なんと、フルマラソンの約316倍にあたる距離を1年1カ月かけて走りぬいた。

羽鳥氏は、「フルマラソンを超える43キロを、毎日走り続けた。闇雲に大きな夢に向かうのではなく、夢を叶えるために、小さな目標をたくさん作り、一つひとつ達成していく。大きな夢にたどりつくために、達成感を重ねていくことが大切だ。これは、ビジネスも同じ」と、マラソンと経営の共通点を話す。
 
ガリバーインターナショナルとして成長してきた過程は、まさにマラソンそのものだ。
「5年以内に500店舗をつくる」という目標に向かって、一歩一歩進み続け、創業から4年9カ月で達成。直近では、売上高2500億円超、店舗数は海外店舗も含め約620店までに成長している。
 
しかし、その走るスピードは短距離走並みだ。業界が違うため、単純に比較することはできないが、昨年(16年)上場した飲食店経営の串カツ田中が100店舗目を出店するまでに丸7年かかっていることを考えれば、同社が異例のスピードで成長してきたことがわかるだろう。
 
「無我夢中だった。お客様が安心して中古車を売ったり買ったりできるような、クリーンな中古車業界を作りたかった。よく、『がんばる』という言葉を使う人がいるが、がんばっているうちは自分の力以上の仕事はできない。無我夢中だったから、130%、140%以上の力を発揮できた」と、羽鳥氏は振り返る。

2.市場のクリーン化へ 中古車業界を牽引する

羽鳥氏が中古車業界に携わるようになった1970年代の日本は、高度成長期を経て、自家用車が爆発的に普及した時代だ。新車マーケットの賑わいに連れて、中古車が流通するセカンダリーマーケットも徐々に賑わい始めていたが、「メーターの巻き戻しが横行し、値段もあってないようなもの。中古車業界は、ダーティーな市場だった」という。
 
セカンダリーマーケットの成長は、メーカーを脅かす可能性がある一方で、買い替えのサイクルを刺激し、自動車産業全体の活性化にもつながる。
 
1994年、ガリバーインターナショナルは車の買取り専門会社として創業された。
そして、2016年7月15日。未来へ「挑む」の意味を込めて、社名をガリバーインターナショナルから「IDOM」に変更。さらなる成長への準備が整ったという意思表示なのだろう。

3.東京オリンピックの開幕に 1000店舗達成を目指す

さて、買取り・販売実績ナンバーワン企業になった今、羽鳥氏が目指した「業界を改革する」ことはできたのだろうか。

「7割は達成できたと思う。国が対策をとったこともあって、メーターの巻き戻しなど悪質な不正は激減し、適正な価格で売買されるようになった。手前みそだが、ガリバーインターナショナルがなければ、お客様がもっと損失を被っていたと思う。ただし、今でもガソリンスタンドや整備工場なども入れると、車屋は全国に6万社以上ある。中古車販売は参入障壁が低いため、トラブルが起きやすい業界だ。さらに店舗を増やして、業界のために働きかけたい」
 
現在掲げる目標は、東京オリンピックが開幕する2020年7月24日までに1000店舗の出店と、年間50万台の取扱い台数実績を100万台に増やすことだ。
 
「日本中がその日まで、IDOMの目標達成のためにカウントダウンしてくれるんだよ。いいでしょう」と羽鳥氏は笑う。しかし、その眼には「世界市場で戦うために必要なVision」が映っている。「雪だるまは、芯をしっかり作れば、あとは転がすだけで大きくなっていく。IDOMは今、ゆっくりと転がり始
めたところだ」という。
 
羽鳥氏は上場する意味を次のように語ってくれた。
「株式を上場しない方が、もっと自由で、もっと儲かったかもしれない。でも世界でビジネスを展開し、活躍したいと思うなら上場すべきだと思う。お客様社員、株主に対して責任が持てるから。金儲けや自分のためのビジネスだと、誰も応援してくれない。しかし、業界のため、お客様のためになら多くの人が応援してくれるし、優秀な人材も集まってくれる」

インタビューを終えて

冗談を交えながらインタビューに応えてくださる羽鳥名誉会長。いつも、視線をそらすことなく、質問に真直ぐ答えてくださいます。そして、インタビューが終わったらコーヒータイム。マラソンのこと、車のこと、何でも気兼ねなく話せるこの時間は、最高に楽しく、最高に贅沢な時間です。今回の取材で、お母様の話を初めて聞き、羽鳥名誉会長がなぜ業界やお客様、社員の方々のために働いているのか、そのルーツに少しだけ触れられたような気がしました。

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