株式会社リサーチ・アンド・イノベーション  中岡邦伸

Guest Profile

中岡 邦伸(なかおか・くにのぶ)

1973年、高知県生まれ。富士通関西専門学院卒後、小林電子産業(現ソレキア)にカスタマエンジニアとして入社。様々な企業と、システムメンテナンスという形で関わっていく中で、顧客満足度が与える様々な影響について強い関心を抱くようになる。06年、覆面調査を主事業とする調査会社に転職、08年、イトクロにて覆面調査事業を新規立上げ、11年、リサーチ・アンド・イノベーション設立。覆面調査のノウハウを活かした、新しい定性調査「Mycomment」をリリース。

特集超注目調査会社の「人の採用」は履歴書を見ずに行う

1.大手企業も注目、いままでになかった調査の手法を開発

「市場調査をイノベーションで壊す」―― そう語るのは、株式会社リサーチ・アンド・イノベーション代表取締役の中岡邦伸だ。

 「例えば、用意された部屋での飲み比べ。あれには2つの問題点がある。1つは、非日常空間であること。通常の対象となるお店や店でない空間では、誤差がでてしまう。もう1つは、買っていないこと。『購買』という重要なプロセスを無視してしまっている」(中岡)

 そこで、同社が提案するネットサービスが『Mycomment』だ。このサービスに登録した会員は、募集されている案件の商品調査を行ない報告する。対価として金銭を得るものだ。

 ここまでは至って普通。しかし、大きく異なる3つのポイントがある。1つ目は、ミステリーショッピング。レストランなどで行なわれる覆面調査といった方法のことで、主に人事評価で使われていた。その対象を人だけでなく商品や企業にも広げた。これにより、日常生活の延長線上で調査を行なうことができる。2つ目は、審査の質の保証。事前審査やレシートや商品をとった写真で調査を証明する段階をふむ。また、使用中の動画を投稿といった場合もある。3つ目は、SNSによるコミュニティ化。調査データをネットで閲覧できるほか、依頼企業が個別に会員にコメントを送れる。分厚い結果報告書はなくなり、企業と消費者が直接対話できるのだ。このような新規性から、会員は30代〜40代を中心に5万人を突破。多くの有名企業から依頼がきている。

2.大切な要素は応募者がわくわくしているかどうか

 消費者と企業を近づけている中岡だが、社内の関係づくりにも気を使っている。例えば、オフィス環境。まず、社長である中岡のデスクはフロアの中央の柱に併設されている。社長室は作らず、いつでも気軽に声をかけられるようにするためだ。また、オフィスが殺風景にならないよう空間にもこだわりをみせる。会社を訪れると驚くが、入り口が大きな黒板になっており、そこには手書きのフロアマップがある。こういった工夫は、起業前に経験した職場環境から学んだことだ。

「空間により仕事効率も精神状態も大きく変わる。ひと昔前のベンチャーにありがちな殺風景で鮨詰め状態のオフィスでは浮かぶものも浮かばない」(中岡)

 また、採用に関しても一家言ある。なんと、中岡はほとんど履歴書を見ないという。

「紙っぺら1枚では分からない。だから、必ず会って話してみる。その時、サービスが好きか、などを感じとる。そして大切な要素は、わくわくしているかどうか。抽象的で、勘のところもあるが、わくわくしている人に間違いはない。これはベンチャーにおいてかなり重要」(中岡)

 今後の展開として、あえて数値的な目標は立てていない。

「やはり、最後は人と人。だから、モノでの繋がりを大切にしたい。この軸はぶらさないで、イノベーションを起こしていく。かなり乖離を引き起こしている企業も多いので解決したい」(中岡)

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