【CEOトピックス】業務を〝見える化〞し属人化脱却 開示書類作成アウトソーシングサービス

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CEOトピックス

●株式会社ディスクロージャー・プロ 代表取締役/公認会計士 末永 貴志 氏 ●株式会社プロネクサス 開示BPOプロジェクト シニアマネージャー 諸澤 貴彦 氏

特集【CEOトピックス】業務を〝見える化〞し属人化脱却 開示書類作成アウトソーシングサービス

1.IPO市場の活況で上場経験者が人材不足に

 IPO市場の活況が続いている。新興企業対象のマザーズ上場企業数の推移を見てみると、2013年は29社に止まったが、以降は14年44社、15年66社、16年55社となっており、17年も8月末までの上場承認分で34社にのぼり、すでに13年の上場企業数を上回る規模になっている。

一般にベンチャー企業の場合、成長のスピードが早く、管理部門の社内体制構築になかなか手が回らないケースが目立つ。そのため、IPOを視野に入れる時点で、実務担当者として上場を経験した人材を外部から招聘する企業も多い。ところが、最近では、IPO市場の活況もあり、即戦力人材はすでに好待遇で勢いのある企業に転職してしまい、採用できずに困っているという声を聞く。

 また、開示業務は最新の開示ルールに関する知識が必要とされ、担当者をすぐに育成するのは困難であり、運よく実務経験者の採用ができたとしても、その人ばかりに業務が集中してしまえば、開示業務の継続を危うくしかねない。

 そこでIPOを目指していく上で、社内のリソース不足をカバーしながら、限られた時間内に効率的に法定開示書類の作成が進められる選択肢として注目されているのが、開示書類作成に関するアウトソーシングサービスだ。「IPOを目指す経営者のなかには、上場に必要な申請書類の作成およびその後の継続開示書類の作成ができる公認会計士や実務担当者を1人採用すれば十分と考え、管理部門の体制を軽視する人もいるが、IPO準備とその後の継続開示義務を果たすのはそれほど簡単なことではない」

 そう語るのは、ディスクロージャー支援の専門会社・プロネクサスのグループ会社で、開示実務に特化するコンサルティング会社としてオンリーワンの存在の、ディスクロージャー・プロ代表取締役末永貴志氏だ。自身も公認会計士であり、監査法人と一般事業会社の双方で勤務経験をもつ、法定開示のプロフェッショナルである。

 管理部門では、上場後、金融商品取引法に基づく法定開示制度と、金融商品取引所による適時開示制度により、法定開示書類の継続開示義務が課される。IPOの審査では、これらの書類作成を継続して開示できる体制が整備されているかが問われることになる。

2.プロネクサスの アウトソーシングサービスは業務の〝見える化〞からスタート

 アウトソーシングというと、業務の『丸投げ』をイメージする人も少なくないが、「『丸投げ』はもっとも避けるべきこと」と末永氏は語る。
「開示書類の作成実務は、属人化が起こりやすい業務。『丸投げ』によってアウトソーシングという名の属人化が進んでしまうと、一時的な人材不足でアウトソーシングした会社が、その後、『内製化したい』と方針転換したとき、開示業務の継続性が担保できなくなるおそれがある。つまり、上場企業に課される継続開示の義務が果たせなくなるリスクを抱えることになる」(末永氏)

 その点、上場企業(IPO予備軍含む)に対するさまざまな支援サービスを提供するプロネクサスが展開する開示書類作成アウトソーシングサービス
では、属人化を避けるための実務上の工夫が施されている。例えば、開示書類作成の業務に関わる経理部門の仕事は、勘定科目の仕訳をはじめ、各社各様のやり方が代々踏襲されていることも多く、現経理担当者でさえ、なぜそういうやり方になっているのかを知らないこともあるが、プロネクサスの場
合、まずその会社の決算業務の洗い出しからスタートする。
「前年の書類作成のために使った基礎資料一式を、ディスクロージャー・プロの担当者(公認会計士)が2週間程度かけて分析し、作成プロセスを〝見える化〞することが第一歩です」(プロネクサス 開示BPO プロジェクトシニアマネージャー・諸澤貴彦氏)

 また、アウトソーシングを利用する場合、自社のこれまでの業務フローを変更したり、特定のフォーマットを作成して、アウトソーシング先に資料を提供しなければならないなど、かえって業務が増えてしまったという声もよく聞くが、この〝見える化〞により、そうした負荷も軽減されるということだ。

3.効率的な仕組みを構築し プロ集団がチームで対応

 このように、当該会社のこれまでのやり方や資料を変更することなく、プロネクサスの担当チームが実際に手を動かし、開示書類を作成する体制を構築していく。つまり、担当者以外にはブラックボックスになりがちだった業務を〝見える化〞し、その内容を社内で確認してもらい、〝仕組み化〞していくというのが、プロネクサスのアウトソーシングの大きな特徴である。

 また、体制面では、実務経験豊富な公認会計士を含む複数名からなるチームを編成して担当する(上図参照)。なかでも、ディスクロージャー・プロに所属する公認会計士は、末永氏同様、監査法人と一般事業会社の双方で勤務経験をもち、「法制度」と「実務」の両方の視点から開示書類をチェックすることができるため、精度が高く適正な開示書類のドラフト作成が可能となる。

 さらに、開示書類作成に関して上場企業の半数以上の顧客をもつプロネクサスならではのサービスとして、開示書類に関する事例、文例、手引書など、制度改正のキャッチアップはもちろん、他社との作成方法の違いや他社事例をもとにした業務効率化のアドバイスなど各種サービスの提供が受けられるのも大きなメリットだ。

 既存の社内資料と開示項目のマッピングによる〝見える化〞にはじまり、他社事例を踏まえた効率的な〝仕組み化〞、開示制度改正のキャッチアップ、経験豊富なプロチームによる書類作成システム(PRONEXUS WORKS)の活用など、プロネクサスが提供する開示書類作成アウトソーシングサービスは、IPOを視野に入れようとしているベンチャー企業にとって、この上なく頼りになる存在のはずだ。

 IPO直後のリソース不足の会社から、経理人員40 名程度の東証一部上場企業まで、業種や規模に関わりなく、さまざまな企業において、この開示書類作成アウトソーシングサービスが活用され、リソース不足の解消と業務の効率化に役立てられているという。

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