Guest Profile
土居宏次(どい・こうじ)
1978年生まれ。さまざまなバイトを経験した後、ミュージシャンを目指し22歳で上京。24歳のときに二人組ユニットとしてメジャーデビューを果たす。ユニットは4年で解散となるが、並行して個人でパーティーイベントを複数開催。開催を重ねていくうちに事業化の手応えを感じ、2006年8月に株式会社Rootersを設立。現在、月間のパーティー開催数1000以上、延べ参加者100万人という実績を誇る。
特集「婚活」・「街コン」市場に挑む
1.男女の出会いを後押しする〝恋屋さん〟として リアルの場でのサポートに徹する
「婚活」「街コン」という言葉さえなかった13年前に、20代・30代の恋愛市場を対象にしたマッチングビジネスをスタート、この3年で売上げを倍増させた元気な会社がある。土居宏次が社長を務めるRooters(ルーターズ)だ。
スマートフォンの急速な普及により、さまざまな出会いの場を提供するマッチングビジネスが拡大を続けているが、そのなかで、Rootersの事業展開は同業他社と大きく異なる。
そのひとつがオフライン重視だ。他社がネット集客で稼ぐモデルなのに対し、同社では男女の出会いの場のパーティー会場での参加者サポートに注力する。またエンジニアが大多数を占める他社とは対照的に、従業員の大半は、毎月開催1000本、2万人が参加者するパーティーの運営を任され、パーティーのプロとしての役割を期待される。同種のパーティー会場に足を運び、「だれが楽しんでいるのか、あるいは楽しめていないのか」を観察する機会を設けることもあるという。
東京(5カ所)、大阪(2カ所)、名古屋(1カ所)、福岡(1カ所)に自社運営のラウンジを設け、質の高いサービスおよび料理を提供、会場費を抑える施策をとっっているのも、同社ならではだ。
加えて、パーティーの男女参加比率1対1へのこだわりがある。
「われわれは男女の出会いを後押しする“恋屋さん”。男女比が変われば満足度に直結する」(土居社長)
このところの同社の成長を支える戦略が、同業他社とのスクラム体制と業界大手とのコラボだ。
「他社が得意とするネット集客を彼らにアウトソースし、われわれは得意分野であるパーティー運営を行なう。その結果、顧客満足度もアップし、業界全体のイメージアップにもつながっている」
現在、同社が開催するパーティーの3分の1を業界大手とのコラボが占める。映画配給会社、ゲーム会社大手、スポーツジム、菓子業界大手などが相手だが、大手企業から評価されていることの証であり、Rootersが運営するパーティーへの信頼にもなっている。
さらなる事業拡大に向けて、同社では福利厚生サービスの導入、本部機能強化、給与体系の整備を進めているところだ。
同社の場合、土日や夕方開催のパーティー運営が事業の中心になるため、どうしても一般企業とは異なる働き方になる。そこで同社では「変動労働時間制」を採用している。
「週6日勤務という人もいれば、18時から23時が就業時間になることもある」
社員の平均年齢は27歳~28歳と若いが、「平日休みだと『どこに出かけるのも空いていて楽しめる』と理解を示してくれている」。
創業から13期目となる2018年度、土居は「従業員の給与の120%アップ」、「離職率の低下」という2つの目標を課した。「いずれも達成できそうだ」という。
今後の展開について、土居は次のように語る。
「オンラインには手を出さない。その代わり“リアルのプロ”に徹しようと社内で言い続けている。ようやく業界(リアルの婚活ビジネス)トップの背中も見えてきた。いますぐナンバーワンにならなくとも、いずれ確固とした地盤が築ける」