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森中 一郎(もりなか・いちろう)
1961年、大阪府生まれ。 立命館大学卒業後、84年株式会社日本エル・シー・エー入社 、87年に株式会社ベンチャーリンク転籍、西日本の営業を統括。90年7月、従来の夢であった20代での独立起業を実現するため退社。株式会社エフアンドエムを設立し、代表取締役に就任。2000年には大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現・JASDAQ)上場を果たした。
特集めざせ労働トラブルゼロ!“会社を守る”就業規則を整備せよ
1.労働トラブルは、会社の存続自体を揺るがす大きな問題に発展
『会社を守る就業規則』を作っていますか?
中小企業にとって労働トラブルは、会社の存続自体を揺るがす大きな問題に発展することがあります。就業規則が会社を守るものであるためには定期的な見直しが必要です。そして、その就業規則と密接に関連しているのが雇用する側とされる側、二者間の事項について定めている労働法です。
※労働法とは労働基準法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法・労働者派遣法などの労働関係法令の総称で労働法という名称の法律はありません。
雇用を検討した時点で関わることになる重要な法律であるにもかかわらず、ご存じではない経営者が多いというのが現状です。それが、昨今労働トラブルが急増している一因でもあります。
「こんなはずではなかった」「こうなったのは○○のせいだ」「まさか、うちの会社がこうなるなんて思いもよらなかった」と後悔しても仕方がありません。
2.「労使間のトラブル」はこの10年で1.7倍に増加
売上げは順調に伸び、借入金の返済も進んでいるし、利益も確保できている。加えて社内の雰囲気も良い。そういったいわゆる順風満帆な経営をしていても、ある日想定外の問題が発生し、それによって会社が危機的状況に陥ることがあります。
調子がいいときや、うまくいっているときほどこそ、足元をすくわれるものです。経営においては突発的な事故やトラブルは、そういった事態を想定した準備ができていれば、未然に防ぐことも、万が一起こったとしても被害を最小限に抑えることができます。
その準備を怠り、事故やトラブルが起こってからでは遅いのです。
『まさか』を『想定内』にするためには、普段から経営を取り巻くリスクに対しての情報収集を欠かさず、常に準備をしておくことが重要です。
昨今、『まさか』で急増しているトラブルが「労使間のトラブル」です。
厚生労働省が平成24年5月に発表した「平成23年度個別労働紛争解決制度施行状況」によると、平成14年度では約62万5000件だった総合労働相談件数(総合労働相談件数とは「労働問題に関する相談」の件数のこと)が、平成23年度では約110万9000件と約1.7倍となっています。
このように、ここ10年で労使間のトラブル件数は増加の一途をたどっているのです。その要因には、終身雇用の崩壊や就職困難により、労働者の権利意識が強まったことを背景に、インターネットの普及で情報が入手しやすくなったこと、パートやアルバイトでもユニオンや合同労働組合へ加入するようになったことなどが挙げられます。
また、在職中ではなく、退職後に専門家(士業)に相談したり、相談者が本人ではなく家族であるというケースが増えているのも特徴的です。
3.就業規則には手を抜かない法律を活用できる経営者に
そのような環境下において、いまだに労使間のトラブルに対する準備がなされていない、もしくは不十分な経営者の方が多いのも事実です。
そもそも会社のルールブックである就業規則が無いというのは問題外です。また、就業規則があれば問題が無いというわけではなく、中小企業でよくあるケースは、現状を把握する手間を省略して、インターネット上からひな型をダウンロードするなどして作成したものであるため、法律は守っているものの肝心の会社を守るものになっていないというケースです。
「法律を守る」=「会社を守る」ではありません。大切な従業員を守るためにも、会社を守る就業規則が必要なのです。法律に振り回される経営者ではなく、法律を理解して活用できる経営者になりましょう。
労務トラブルを未然に防ぐためのチェックリストを掲載しておきますので、気になる方はぜひ一度、チェックしてみてください。各チェック項目は、基本中の基本のため、一つでもチェックがついた場合は注意が必要です。気になる方はぜひセミナーにご参加ください。
当社では、累計2万1000社をサポートしている経験とノウハウを活かし、法律を守るだけではなく、会社を守ることを目的とした就業規則および諸規程を運用いただくためのアドバイスを実施しています。