株式会社e-flat 東平 豊三

Guest Profile

東平 豊三 (とうひら・ゆたみ)

1965年兵庫県生まれ。 国立明石工業高等専門学校建築学科を卒業後、 水回り専門のリフォーム会社に就職。設計事務所に転職後、 一級建築士を取得。建設会社に勤務の後、 ユタミデザイン一級建築事務所を設立。 2010年5月、e-flatを設立した。 《企業・法人データ》 2010年5月設立。分譲太陽光発電を企画実行する 「SUN FLOWER PROJECT」のほか、高齢者施設事業、 リフォーム建築事業、不動産事業を営む。 http://www.east-flat.com/

特集背中を見せ、仕事を任せマルチな女性スタッフで高い目標をクリアする

1.グリーン投資減税を使用できる節税商品

 高い収益を得られることで、近年、注目を集める太陽光投資。大手企業によるメガ規模の太陽光発電所が多いなか「個人がソーラー事業に参加できる」仕組みを作り上げて、急成長するベンチャー企業がある。東平豊三代表取締役が率いる株式会社e-flat(イーフラット)だ。同社の主力事業である「SUN FLOWER PROJECT」では、メガソーラーを分譲化し、コンパクトにすることで価格を下げた「土地付き分譲型太陽光発電システム」を販売し、表面利回り12パーセントを実現。グリーン投資減税を使用できる節税商品でもあることから、購入希望者が列をなすヒット商品となっている。

2.分譲型の太陽光事業で、“三方すべてよし”

 3年前、FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取制度)による電気の全量買い取りが始まることになり、太陽光発電業界がにわかに活気づいた。「当時、業界のほとんどの人が太陽光発電事業を始めるには広大な用地を買い取る必要があると考えていましたが、実際にその方法でうまくいくのは大手企業だけ。資金力、企画力、さらには政治力も必要です。当社は建築・不動産会社としてスタートした小さな会社でしたし、電気は専門外。新しい分野をこれまでの事業に加えていくなかで『身の丈にあっているものから始める』『たくさんの人に勧めたい』『太陽光発電でレバレッジを効かすには?』と、考えたときに思いついたのが分譲型でした」と、東平さん。

 ひらめきを得た東平さんは、当時、入居していたインキュベーションオフィスの支援を受けながらビジネスプランを練り上げ、東京都の経営革新事業として認定を受ける。商品開発において「原価の上にほしい利益を乗せるのではなく、『お客様が望むもの、自分が客であったらほしい商品』という視点で設定したのが、利回り12パーセントの商品でした。それを実現するために逆算して、価格設定、土地の選定、資材調達、建設、管理方法を詰めていった。甘い考えではできませんが、やれば何とかなる。お客様が自分でつくるより安くて、できがよいのがプロの仕事」と言う。

 東平さんは原価圧縮を進めるなかで協力会社に負担を強いるのではなく、商材の大量発注や、重層下請構造を改善し各工程の工事を直接発注することでコストを削減し、自社と業者双方が利益を生みつつ価格を抑えた商品化を実現する。3区画700万円を自己資金で取得することから始まった事業が、現在はメガバンクの融資を受けて億単位で仕入れを行ない、年間売上げで当初見込みの10倍となるまでに成長。自社でもメガソーラーを所有し、発電事業主として売電収入も得ている。

「非常に人気のある商品で、いまはお客様も協力会社も当社も利益があり、全員が喜べる状態です。私自身はお客様にも、協力会社にも社員にも公平であることを意識しています。お金を支払う側が偉いわけではない。協力会社の皆さんが仕事を受けてくださるから成り立っている。上も下もなく、それらをつなぐパイプ役だと思っています。そう思えたのも失敗を含めてさまざまな経験をしてきたからこそ。過去には偉そうにしていて痛い目にあったこともありますから」と笑う。

3.従業員は全員女性半年でベテランに育てる

 同社の成長を支える従業員5名は全員女性だ。東平さんは彼女たちをどう牽引したのか。
「従業員が少ない会社ですので、マルチな人を育てる必要がある。営業も管理も互いの仕事を理解し、補完できるようそれぞれの業務内容を限定せず、仕事を共有できるようにしています」

 ときには失敗してもいいから、責任ある仕事を任せることもある。その際には必ず優先順位をはっきりさせ、スタッフが自分ならできるという『自信』と、いざとなったら社長が何とかしてくれるという『安心感』をもって仕事に臨めるようにしているという。

「優秀な人材ほど、素直になれないことが多いのですが、相手を徹底的に認めて素直さを引き出して、考え方が柔軟になるよう働き掛けています」

実際、社員が失敗したときに、東平さんは怒らずに問題解決を最優先する。

「最後に責任を取るのが社長の役割。怒っている暇があったら問題解決に乗り出します」

 その姿からも多くのことを学び取るのか、スタッフは入社3ヵ月で一通り学び、半年もすればベテラン社員のように業務をこなせるようになる。成長がはっきりしたら、すぐさま新しい部署を任せるのも東平流だ。

4.次なる会社の目標は全員が1000万円選手

「SUN FLOWER PROJECTで業績を伸ばしていますが、社員のなかに適任者がいればこの事業を譲ってもいい。当社は、建築と不動産に絡むことならなんでもできるし、すでに次のビジネスも考えている。それぞれの事業で女性経営者を育てたい」と話す東平さん。社長業の傍ら、東京都の女性創業者セミナーでは講師として活動するなど、女性の起業支援も行なっている。

「女性の場合、ビジネスを感情論で捉えたり、趣味の延長で考えたりする傾向があるけれど、私の場合は、きちんと練り上げられたプランであればこれまでの経験とノウハウ、資金を使ってぜひ応援したい。『やれる』と思えば、目標はどんどん近づいてくる。自分が実現できると思う2倍の値を目標に、それくらいの勢いで取り組むことをお勧めしています」

 ビジネスは顧客のためにやっていれば絶対に利益が出る。顧客の喜ぶ商品をつくり続け、『もっともっと欲しい』と言われる状態になってようやく利益になる。東平さん自身、最近になって、このことを心底理解できたという。

 「女性でも1000万円プレーヤーになるのが夢ではない会社にしたい」と以前に語っていた東平さん。すでに1000万円プレーヤーを輩出している現在の目標は、社員全員が1000万円プレーヤーになる会社だ。次々と大きな目標値を書き換えながら、確かな足取りで成長の歩みを進めている。

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