Guest Profile
安藤 浩二(あんどう・こうじ)
1962年生まれ。 80年に大手ゼネコンへ入社。 海外にて構造設計に従事した経験を持つ。 土木構造設計の経験を積み、90年2月に前身である日本ベクトルエンジニアリング有限会社を設立(96年株式会社ベクトル・ジャパンへ組織変更)。
特集理想の子育て環境を整備 最先端の構造設計技術を学ぶ場を提供
1.学生必見!いっしょに働きたい会社(会社概要)
代表取締役●安藤浩二
事業内容●構造設計(土木・建築)、耐震診断、耐震補強設計、動的・静的非線形解析のコンサルティングなど
設 立●1990年2月
資本金●1,000万円
従業員数●48名(うち大連事務所社員18名、
台湾事務所社員3名)
所在地●東京都中央区銀座8丁目12-8
PMO銀座八丁目7F(東京オフィス)
電 話●03-5550-7250
URL●http://www.vector-japan.com/
2.1.概要
上下水道施設、オフィスビルやマンション、集合住宅など、建物を建てる際には「デザイン設計」と「構造設計」が必要になる。前者がいわゆる建物のデザインであるのに対し、後者はそのデザインを実現させるために必要な構造、つまり安心・安全を確保するための設計だ。
この構造設計に特化して30年近く事業を展開しているのがベクトル・ジャパンである。創業社長の安藤浩二は「構造設計で日本一を目指す」と宣言し、社員のことを第一に考えた組織運営を長年心がけてきた。最大の特徴は「ガラス張り経営」だ。社員全員が、会社の数字(例えば、売上げ、経費など)をいつでも確認することができる。月に1度経営会議があり、チーム(1チーム4人から5人)のリーダーは、担当部門の経営状況と今後の見通しについて数字をベースに発表。課題や改善点が明らかになれば次回までに手を打ち、その結果を報告する。一人ひとりが会社の経営をチェックし、PDCAを回す体制ができあがっているのだ。
3.2.人事制度
また、ユニークなのは社員全員が首にかけているネックストラップの色により、その人の階級、給与がわかるようにしている点だ。階級トップの社長は黒、その下は、茶、緑、黄、青、白の順になる。年に1回人事考課を行ない、取締役会で各社員の階級が決められる。評価項目も明らかにされており、自分の評価を上げるには「何が必要なのか」もわかる。この制度を導入してすでに15年、社員のモチベーションを高める機能も果たしている。
社員の7割は女性、その多くは技術職だ。同社では子どもが就学するまでの時短勤務、出産祝金(第一子10万円)、小学校への入学祝金(3万円)など、子育て環境をサポートするための制度を設けている。制度設計ばかりが先行し、現実には使用しづらい会社も多いなかで、同社の場合は、全社員の2割が子育て中、時短勤務が複数名いる状況だ。
4.3.取り組み
構造設計に関わる技術は、コンピュータの処理能力向上により、日々進化している。同社内でも、地震の揺れの影響を正確に評価できる動的解析や、3次元モデルを作成できるBIM・CIMといった最先端の技術をいち早く導入し、技術力の向上に日々取り組んでいる。そうしたこともあり同社に対する評価は高く、取引先は大手ハウスメーカー、ゼネコン、設計事務所が中心だ。
5.4.今後の展望
現在ベクトル・ジャパンは売上高3億3000万円、経常利益1000万円(2017年度決算)だが、安藤は「10年以内に、売上高20億円、経常利益4億円をめざしたい。その規模になれば上場が視野に入ってくるからだが、本音を言うと将来大きな不況がやってきて半年くらい受注がなくても、社員が困らない会社にしたいからだ」と熱く語る。安藤の頭の中では四六時中、ベクトル・ジャパンの企業理念「この自由の旗のもとに集まった社員、その社員を豊かにし幸せにすること」が渦巻いているのだ。