トラスティーパートナーズ株式会社 関野 大介

Guest Profile

関野 大介(せきの・だいすけ)

1985年、東京都大田区生まれ、神奈川県横浜市育ち。 2004年にクルーガーグループ株式会社に入社し、NHK受信契約締結事業に携わりトップ営業として活躍。 06年にプロパティエージェント株式会社に入社。 不動産コンサルティング事業で頭角をあらわし、同社でもトップ営業となり、不動産業界未経験入社として、同社初の営業部長に就任した。 理念の追求により、13年にトラスティーパートナーズ株式会社を設立、代表取締役社長に就任。多角的な事業を展開し、顧客とのさらなるパートナーシップ構築を目指す。 創業以来、増収増益を続ける。

特集既成概念にとらわれず イノベーションを志向 完全紹介制型の不動産コンシェルジュ

1.前期比300%成長で売上高30億円を達成

2013年に設立されたトラスティ―パートナーズは、初年度に1億円を売上げると、翌年からは前期比300%超の成長を続け、前期(17年6月期)は約31億円の売上げを達成した。

完全会員制を謳った投資用ワンルームマンション販売事業(アセットマネジメント事業)を主軸にスタートし、WEB上のプロモーションの企画・提案(Pマーケティング事業)、販売代理店の営業支援(パートナーセールス事業)、ヘッドハンティング及びそれに関するコンサルティング(ヒューマンリソースマネジメント事業)等の事業を次々と展開してきた。
 
代表取締役社長の関野大介は語る。
「これまで前期比300%超の目標を掲げ達成してきたのは、創業期は〝量〞を追うという戦略があったからで、目標達成への意地もあったといえます。
とはいえ、数字として積み上がってきたそこには、お客様の満足も伴っているはずです。5期目に入ったいまは、経常利益率の向上、経営としての〝質〞を目指そうと考えています」

2.不動産業界唯一無二の サービスで顧客に寄り添う

同社事業の最大の特徴でもある〝会員制〞は、不動産業界では他に類を見ない。
 
顧客は「たとえれば友人、もしくはそれ以上で、仕事のやり取りの時だけ〝お客様〞」と言い切る関野の言葉通り、顧客とは親身になって深く付き合い、互いの家を行き来したり、ともに旅行をしたりまですることもあるという。
これをカスタマーサポートという言葉だけで片付けてしまっては、同社の本当の凄味は伝わらない。
徹底的にアフターケアに重点を置いたビジネススタイルがこれまでの成長の要因だ。
 
同社のサポートを一度でも受けたことのある顧客は、温かみがあり信頼できる同社の対応を、必ずといっていいほど、親しい友人、知人に熱く語り伝えるのだという。
その結果、顧客が次の顧客を紹介することにもなり、2000〜3000万円の商品が営業をかけることもなく、売れていく。
 
こうした完全会員制事業を柱に、同社では昨年(17年)、新たな事業を二本立ち上げた。 
一つはプロパティマネジメント事業、他業者から買った物件の管理および賃貸管理を行なうサービスだ。
不動産業界は、未だに買い手と売り手との間に情報格差が残っている世界。
質のよくない他業者から半ば〝押し売り〞されてしまったオーナーに対するサポートや所有物件の管理、アフターケアのないまま業者に放置されている物件の賃貸管理などを行なうというものだ。無償でローンの借り換え相談に乗ることもある。
こうしたサービスを展開する不動産会社は他に例がない。
もう一つは、転貸・民泊可能物件専門サイト「ミンコレ&シェアコレ」の運営事業。
世の中のシェアリング(共有)の意識が高まりカーシェア(自動車)、シェアサイクル(自転車)、シェアパーキング(駐車場)など、シェアリングの世界が身近になってきており、さらに18年6月には〝民泊新法〞が施行される状況を踏まえての取り組みだ。
民泊物件のオーナーはおおむね投資意欲の高い層なので、同社の顧客としての取り込みも視野に入れている。

実は不動産会社で、民泊関連のメディアサイトを運営しているところはトラスティ―パートナーズをおいてほかにはない。
「①既定の概念にとらわれない。②常にイノベーションを目指す」を身上とする関野は、既存の不動産事業者にはない事業を柱に展開する自社こそが「これからの変化の激しい時代にうまく寄り添っていける」と考えている。

3.「人を大切にする」思いが 離職率1%未満を実現

2人で起業した同社も、現在では従業員数60名を数え、18年度には売上高45億円を視野に入れる規模に育ってきた。
 
そんなトラスティ―パートナーズに、関野が求める人材の評価基準は「一緒に働きたいと思えるかどうか」「明るく元気にはきはきと」の二つだけ。
三次まである面接の最後に関野は立ち会うが、先入観なしに応募者と向き合うために、履歴書は一切見ないでその場に臨む。そう努めてきた結果、離職率は不動産業としては異例の低さを保っており、自己都合退職は1年間に1人いるかいないかだという。
 
また、女性比率が高いのも同社の特徴で、営業のおよそ半分は女性。「プル型営業には女性が向いているし、女性が活躍できる会社は伸びる」というのが関野の持論だ。

かつては敏腕営業部長として鳴らし、社員はただの〝駒〞に過ぎないと考えたこともあった関野だが、前職を離れ起業する際、自分には「金とスキル」しかないことに気づいたという。一緒に事業をやりたいと言ってくれる人間、自分についてきてくれる人間がいなかった。
 
そのとき初めて、人の大切さを、身をもって感じた。「なにより社員が大事」という考え方に変わったのは起業してからだ。

「まず四六時中一緒にいる仲間を大切にできなければ、お客様を大切にすることはできないじゃないですか」と関野は語る。
〝社員をなにより大切に〞の思いが、〝顧客を大切にする〞ことに繋がり、それが〝会社の成長と発展をもたらす〞という鮮やかな図式が、ここにある。
 
既成概念にとらわれずイノベーションを志向し続ける手腕と社員への強い思いが、同社の未来を支えている。

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