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佐川 隼人(さがわ・はやと)
1980年生まれ。 18歳で起業するもほどなく事業を解散。 その後ソフトウェア開発会社に就職し、約3年でプログラミングを習得。 オーストラリア留学を経て、帰国後フリーランスのシステムエンジニアとして起業。 大規模システム構築に関わり、金融系や生産管理など多岐にわたる業務システムの設計と開発に携わる。 2008年10月テモナ株式会社を設立。 17年4月、東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。
特集「すべてのビジネスをストック型へ」の野心を胸に サブスクリプションビジネス圧倒的勝者をめざす
1.「モノ消費」から「コト消費」へ。消費者の購買行動が変化している。
2.同社が主力とする『たまごリピートNext』は、ネットショップのリピーターを育て増やしていくことをコンセプトにした、ショッピングカート付きリピート通販専用WEBサービス。
3.今後の構想としては、EC事業者だけでなく、ベーカリー、八百屋、居酒屋など実店舗ビジネスにも対象を広げていきたいという。
1.「モノ消費」から「コト消費」へ。消費者の購買行動が変化している。
とくに動画、音楽、車、ファッションなどの分野では、聞き放題、借り放題、使い放題、といった定額制ビジネスモデル(=サブスクリプションモデル)が注目されている。
そうしたなか、主としてEC(ネット通販)事業者を対象に、定期購入や頒布会などリピート通販に特化したサービスを展開、成長を加速させている企業に、東証マザーズ上場のテモナがある。
「世の中のビジネスモデルには『フロー型』と『ストック型』があるが、安定した売上げを維持できるストックモデルを実践する企業は圧倒的に少なく、未だに毎回の取引に大きく影響を受けるフローモデルを展開する企業が大半を占めている。なぜ企業はストック型に向かわないのか、そう考えていくなかで当社のサービスが生まれた」テモナ社長の佐川隼人は語る。
2.同社が主力とする『たまごリピートNext』は、ネットショップのリピーターを育て増やしていくことをコンセプトにした、ショッピングカート付きリピート通販専用WEBサービス。
月額定額制で提供され、顧客管理とその分析、その後のリピート誘導、販促機能等に、独自のノウハウを有している。前身サービスの『たまごリピート』からの導入企業は累計で1000社を超え、リピート通販向けのASPとしては国内№1のシェアだ。
もちろんテモナ自身のビジネスモデルも月額利用料をベースにしたストックモデル100%。創業以来、増収を続け、18年9月期の売上高は前期比10・1%増の約12億円を予想している。安定したビジネスを継続する同社が上場をめざしたのはなぜか。
「得意とするリピートITのノウハウで、世の中にある『フロービジネス』のすべてを『ストックビジネス』へと転換したいという野心がある。上場すれば、資金調達もやりやすくなり、思い切ったチャレンジができる。上場は、われわれの野心実現をスピードアップする手段と考えた」
3.今後の構想としては、EC事業者だけでなく、ベーカリー、八百屋、居酒屋など実店舗ビジネスにも対象を広げていきたいという。
「店舗に足を運んでもらうビジネスの場合、雨が降ったらどうしても客足が落ちる。でも例えば、1カ月980円の定額制で毎週、焼き立てのパンを届けるとか、購入者が月3回来店すれば元が取れる年間パスポートを居酒屋で発行するとか、そういった仕組みの提案、サポートができれば、実店舗ビジネスでも安定したモデルの構築が可能になる」
日本でサブスクリプションモデルが注目されるようになったのは、この数年のことだが、テモナには09年から本格展開してきた実績がある。提供サービスのグレードアップも着々と進んでいる。SIerとの連携により大型案件の営業活動もスタートさせた。
いま佐川の頭にあるのは「サブスクリプションビジネス第1ラウンドでの圧倒的勝者の座」だ。