株式会社ベルーナ 安野清

Guest Profile

安野 清(やすの・きよし)

1944年埼玉県生まれ。68年9月、創業。77年に友華堂(現ベルーナ)設立、代表取締役社長に就任。83年より衣料品の通信販売を開始。以後、商品や事業の拡大、販路の多角化を図り、現在は顧客データベースを活用した『通販総合商社』としてさらなる進化をとげている。11年3月期売上高は1034億円。11年12月、経団連入会。

特集約40年の経験が強み 通販代行サービス

1.経験に裏付けられたサービスの品質が抜群

 ある美容品・健康食品関連の通信販売会社は、新規顧客の開拓を目的にコールセンター業務をベルーナに委託している。同社のメイン顧客が中高年層であり、電話対応に相応のスキルが求められることから業務委託に踏み切ったという。「オペレーターのスキルが高いのはもちろん、お客様からのクレームには全会話記録などが迅速に提供されるなど、経験に裏付けられたサービスの品質が抜群」と評価する。

2.商品企画から代金回収までベルーナのノウハウが活用できる

 ベルーナのオペレーターは登録者数が3000人ほどで、常時約700人が稼動している。各オペレーターが使用するPC画面には、顧客の購買履歴から作成された提案パターンが表示されるため、購買意欲を喚起する会話ができるという。
 しかも、オペレーターの70~80%が主力顧客層と同じ40~60代の女性だ。「この商品を私ならこう使います」「こういう商品もありますよ」と顧客視点で提案できるというのが強みだ。安野雄一朗取締役常務執行役員は「お客様がすぐ目の前にいるかのように、インタラクティブで、買い物の臨場感に満ちた会話をしている」と自負する。
 このコールセンター業務は、ベルーナが展開する通販代行業務「通販代行サービス」の一部である。通販代行業務は「ベルーナダイレクト」(『CEO社長情報』第2号に掲載)と共に、ベルーナのソリューション事業として提供されている。
 ソリューション事業の売上高は2012年3月期に前年度比12・6%増の40億1000万円を記録した。新年度に入っても4月度は前年同月比27・3%増、5月度は20・7%増で伸びている。通販市場への新規参入はいまもなお増加の一途にあるが、一定水準以上のノウハウは一朝一夕に確立できるものではない。この現実が、ソリューション事業のニーズを拡大しているのである。
 通販代行サービスでは①商品企画および開発②効果分析③通販ツール制作・ECサイト設計④媒体企画⑤顧客開拓⑥顧客育成⑦システム構築・顧客管理⑧コールセンター⑨入出庫管理・ピッキング・発送代行⑩代金回収―など、通販に関わるすべての業務を支援する。
 これらの業務は一部委託することも、すべて委託することも可能だ。商品開発を進めている事業者がワンストップサービスを利用すれば、通販業務窓口の一元化によって煩瑣な手続きやトラブル対応から解放され、商品開発に集中できる。また、受注から出荷までのシームレスな業務体制は、効率的なフルフィルメント運営を可能にする。

3.通販ビジネスの課題を解決ほとんどの顧客がリピートで利用

 通販代行サービスを提供する事業者はベルーナだけに限らない。同業他社が乱立するなかで同社が選ばれる理由はどこにあるのだろうか。
「一つは、約40年にわたって蓄積してきた当社の通販ノウハウを活用できること。もう一つは、特定の業務に特化した代行サービスでなく、ワンストップでトータルな通販サービスを受けられることが大きい」
 ベルーナは、1983年に衣料品の通信販売を開始し、そこで蓄積した1300万件を超える顧客データベースと、通販ビジネスのノウハウがベルーナの強みである。通販代行サービスは、ベルーナが40年の経験から得たものを、明日から活用できるのである。
 こうした通販代行サービスならば「新規顧客の開拓」「既存顧客のリピート率アップ」「業務改善とコスト削減」「通販事業の立ち上げ」「新商品の開発」「ECショップ構築・運営」といった課題をスムーズに解決することが可能だ。
 日用雑貨のマーケティングを請け負うある広告代理店は、ベルーナのサンプリングを新規顧客の開拓ツールとして利用する。「ベルーナは中高年層へのリーチに強く、他媒体ではなかなか配布しきれない数量を中高年層限定で配布できる点が大きな強み」と評価したうえで、高い満足度を示す。「注文品と一緒にサンプル品を同梱して送るので、ターゲットとなる顧客の自宅に確実に届けることができ、実際に使ってもらえる可能性が高まる。クライアントからも好評だ」
 通販代行サービスの料金は個別の案件ごとに異なっている。悩みや要望は企業によってさまざまだからである。クライアント企業へヒアリングを行なったうえで、それぞれの悩みや課題に合ったソリューションサービスを提供している。
「受注代行の料金は他社と比較して決して安くはない。しかし、当社の受注代行を利用したクライアントが料金を理由に他社へ変更したケースは、これまでのところない」
 現状、年間契約をするクライアントが多く、ほとんどが継続取引につながっているという。通販ビジネスの拡大には既存顧客のリピート率アップが欠かせないが、通販代行サービスにおいても、リピーターづくりが重要だ。「今後の業務量の拡大に対応するため、むこう1~2年はコールセンターの人員増と物流センターの拡張に取り組む」。高まる通販代行サービスのニーズに、ベルーナは一歩も二歩も先を見据えている。

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