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山田 研太(やまだ・けいた)
兵庫県生まれ。神戸大学経営学部卒業後、国内大手の人材教育コンサルティング会社に入社。3年間パーソナルコンサルタントとして、個人の目標達成の支援に携わり独立。2012年に株式会社ホンモノを設立後、数回の業種転換を経て現在の経営塾事業を開発。15年末より本格的に事業拡大を決断し、第2創業期へ突入。
特集独自の「6step」「強み理論」で圧倒的なコンサル成果を生み出す
1.個人対象の経営塾として日本一の規模を誇る
働き方の多様化が進んでいる。副業を認める企業も増加、起業というほど大げさでなくともフリーランスや個人事業主として働く人も増えつつある。そうした個人事業主や小規模企業向けの経営セミナー分野で躍進しているベンチャーがある。2012年設立のホンモノだ。1クール3カ月間の「ホンモノ経営塾」で経営の基礎を身につけ、期間中に売上げアップすることをコンセプトにサービスを提供している。一般にセミナー業界では参加者のうち結果が出るのは2割程度とされるなか、ホンモノ経営塾は参加者の86.7%が売上アップに成功しているという。16年は300人以上が新規に参加。社長の山田研太は「個人事業主をメインとした経営塾としては日本一の規模です」と胸を張る。
同社の塾生の8割が女性。職種はセラピスト、コーチ、コンサルタント、カウンセラー、美容師など手に職をもった人が多い。塾卒業後も、売上げアップや組織拡大とともに変化していく経営課題を解決するために、個別コンサルティングを継続して受けられる環境を提供する。そうした充実したプログラム、きめ細やかな指導が高い満足度とその後のリピート、紹介につながっている。
何が他社とそれだけの圧倒的な差を生みだすのか。ホンモノ経営塾には独自のノウハウやメソッドがあるが、特に重要なのが「6step 」と「強み理論」の2つだ。
6step は、売上げをコントロールするために山田が開発したメソッド。独立し個人サロンの経営支援事業をスタートさせたとき、廃業寸前だったクライアントを二人三脚で立て直し、4カ月で売上げを12倍に成長させた際に実践したことを体系化したものだ。「経営で最も大事なのは、時間やお金という限られたリソースを最も結果につながることに集中させることです。ただ多くの場合、何に集中するのかの判断を感覚に頼っており、それが結果につながらない原因になっています。そこで、どの経営課題を集中的に解決するのかを明確化し、具体的に何をすれば高い確率で売上目標を達成できるのかを、6つのステップに分け、誰でも学んで実践すれば技術体得ができるようにしました」
もう一つの強み理論とはどういうものか。山田によると、セミナー参加者が短期で結果を出すにはどうすればよいかを追求した結果、わかったのは能力開発の限界だったという。能力開発には一定の効果があるが、習得するまでに時間がかかるうえ、それをもともと得意にしている人より秀でることは難しい。
そこで山田は、ビジネスに必要な「型」に人が合わせるのではなく、その人が元来持っている強みやリソースを生かし、その人独自
ビジネスの手法をつくったほうが、早く結果が出ると考えた。
2.パフォーマンスを上げるのは「型」よりも個人の強み
山田は人材教育コンサルティング会社アチーブメントの出身。新卒で入社し、約3年勤めた。「同社では人材コンサルティングについて多くのことを学びました」と振り返る山田だが、ずっと気になっていたことがあったという。
「子どものころから自分の強みを生かすことにすごく興味があり、それはビジネスでも同じではないかということです」ある業績のよい会社のコアの考え方、メソッドが、誰にでも合うかといえば、そんなことはない。ところが、一般にコンサルティングの場では、うまくいっている人や会社の型を身につけさせることが基本になる。
「型を身につけることも大事ですが、自分独自の強みを生かせるほうが、パフォーマンスは発揮できる。たとえば、集客のための行動はいろいろありますが、その人なりの強みを生かせる方法があれば、ストレスなく実行できる。そういう個人の強みを生かせるコンサルティングをしたいというのが、独立の大きな動機の一つです」
3.「ホンモノ経営塾」の全国展開も構想中
これまで主に個人事業主を対象にしてきたホンモノだが、17年7月から法人コンサルティング事業とビジネスタレントプロデュース事業をスタートさせた。これは個人と企業とをマッチングさせるものだ。
「たとえば芸能人は芸には秀でていますが、マネジメントは事務所任せ。個人事業主もすべてを自分でやるのは難しい人もいます。それを当社がプロデュースして、ニーズのある企業とマッチングさせる。結果的には法人に対するコンサルティングにもなります。それによって個人事業主と企業との新しい関係性が生まれ、活躍の場を広げられると考えています」
わかりやすい例のひとつとして、数年前に著書がミリオンセラーになり話題になった人がいる。「その方は現在、米国シリコンバレーに住み、英語圏で活動しているのですが、新たに中国市場に進出したいと考えておられます。そこで当社がお手伝いし、中国で3日間の研修を行ないました。今後、中国の出版社や企業などとのマッチングを進めていきます」
パラレルで副業を持つ人などを含め、これから個人事業主的な働き方をする人は増えていくと山田は見ている。それは東京をはじめとする大都市だけでなく、全国的な流れだとも指摘する。実際、ホンモノには経営塾を地方でも開催してほしいという声が多く寄せられており、現在、東京、名古屋、京都、大阪、福岡で開催している。
さらに全国展開も構想中。ホンモノの経営理念に共感する地元企業と提携し、経営塾を開催する。「ホンモノ経営塾で学びたいという方が全国にいらっしゃいますので、そのニーズに応えていきたい。1〜2年以内にはフランチャイズのようなモデルを実現したいと考えています」
山田の新たな挑戦が始まる。