Guest Profile
菊地 裕幸(きくち・ひろゆき)
1967 年、北海道生まれ。上京後、直販の営業・テレマーケティング営業など、営業畑12 年のキャリアを積む。営業マン育成の業務も経験。起業の夢の実現のため、音楽関連(CD 市場、DVD 市場)の制作会社に3 年間勤務。2003 年10 月に36 歳で独立。〝市場のトップランナー〞の夢を目指して、顧客重視を経営の柱に〝丁寧な接客〞を徹底した事業を展開。挑戦心旺盛に新規事業にも取り組む。
特集着想はCDの制作から 〝ビジネスチャンスを創る〞 ボイストレーニング
1.市場のトップランナーを 目指して独立、起業
成熟した市場で活力を持ち続けるには、「ネット活用」、「制作から販売までの一貫したシステム」、「差別化戦略」などが必要条件になる。CD、DVD市場はどちらかといえば、成熟というよりも縮小気味の市場だが、その市場で独自性とアイデアを駆使して成長しているのがサーフ・プロジェクトである。
同社は2003年10月、CDプレス、DVDプレスを事業として創業。17年で1期目に入るが、ゆっくりと、着実に業務拡大を続け、いまも新規事業を手がける勢いのある会社だ。
同社社長の菊地裕幸はCD制作の中堅会社に勤めていたが、36歳で独立、〝市場のトップランナー〞になりたいという夢を目指して起業した。〝丁寧な接客〞を徹底して心掛け、リピート客、口コミ客が増え続け業績を伸ばしてきた。
現在、売上げの9割を占める「プラチナディスク(PD)事業」、「PDディストリビューション事業」、「プラチナボイス事業」の3事業を展開する。
PD事業ではCDプレスからDVDプレス、CDマスタリングからジャケットデザイン、印刷まで、クライアントからの要望があれば、ロット数に関係なくすべて受注するという手作り感のある受注体制をとっている。
CDの制作代行から派生的に生まれたのが、流通も含めた販売代行を行なうPDディストリビューション事業である。「CDがなかなか売れない」という事情があるだけに、そのサポート(流通から販売)が代行事業として成り立ち始めているという。現在はCDショップへのプロモーションのアドバイスから販売スタッフの派遣まで、幅広く対応している。
同社が伸びている理由には次のことが考えられる。
(1)制作から販売まで一貫したシステムをとっている。このスタイルは珍しい。(2)豪華なパッケージを得意としている。クライアントのニーズに合わせた提案力を得意としている。(3)オリジナリティを打ち出せる会社のイメージがある。(4)クライアントは制作には強いが販売面に弱いという傾向があり、同社のショップへのプロモーション提案力が評価されている。
「発注いただく際に、わが社の特徴を知ってリピート客になっていただいています。〝丁寧な接客〞を心掛けてきたことが支持されるようになりました」と(菊地氏)
2.第3の新規事業は ボイストレーニング
いま、同社が新規事業として注力しているのが、地域密着型のボイススクールを運営するプラチナボイス事業だ。キャッチフレーズに「ビジネスチャンスを創るボイストレーニングスクール」を掲げ、個人から企業研修まで、利用価値の高いサービスを目指している。
他の2つの事業と同じく「プラチナ」のネーミングにこだわるのは、プラチナの言葉の持つ意味が、「純粋な思いの証」「希少な存在」「時を超える永遠の象徴」であるためで、オリジナリティある仕事を展開する同社の企業理念にもつながっているという。
菊地は「大きな夢を持ちながら、コツコツと仕事を積み上げていく信用力のある会社を目指しています。まずは本社のある中板橋から地域密着型の新しいボイススクールを実現していきたい」と抱負を語る。
ボイストレーニングといえば、歌手や声優など、プロの仕事を目指す人のスクールではないのか。そういう疑問があるが、「自分の声の魅力を高める」のがボイストレーニングの本来の目的だという。たとえばボイストレーニングを通して、「腹式呼吸を習得できる」「きれいな母音を習得」「舌根・表情筋を鍛える」「抑揚の付け方を習得」「コミュニケーション能力をアップさせる」といったことが可能だ。
3.助成金を活用できる 人材育成プログラム
サーフ・プロジェクトが展開するプラチナボイススクールには、
❶5段階で実践する20時間完結プログラム、
❷業界初、Webカルテを使って変化と効果を確認、
❸アフターケアや無料個人レッスンも実施する、といった特徴がある。
このプラチナボイススクールで、なぜ「ビジネスチャンスを創るボイストレーニング」を掲げたかといえば、従来のボイススクールと違い、声を使う職業(プロ)の人だけでなく、ビジネスマン、健康増進のためのシニア、コミュニケーション能力アップを図りたい人まで、幅広い人たちに親しまれる次世代の教室を目指しているからである。
プラチナボイス事業部長であり、ボイストレーナ―歴10年のチーフ・トレーナー蒲田好正氏は「ボイストレーニングを企業研修の人材育成の強力なツール、システムとして提供していく。営業セクションのみならず、電話応対で〝受注ができる人材づくり〞にも力を入れていきます」と、この事業にかける思いは強い。
少子高齢化が進み、生産年齢人口は毎年100万人規模で縮小している。いまやあらゆる業界で人材不足が深刻さを増している。だからこそ、自信をもって仕事ができる人、自信をもって生きていける人、会話に自信を持つ人など、人材育成が急務の時代になっているのだ。
「企業各社に応じたプログラムづくりは当然のこと、当スクールの価値を知っていただいたうえで実施します。厚生労働省管轄の『キャリア形成促進助成金』を利用すれば、半額程度で受講いただけます。新しい人材育成のプログラムという点で普及させていきたい」(菊地氏)
いまはまだ限られた地域での展開だが、将来的には全国展開も考えているという。