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菅嶋 大輔(すがしま・だいすけ)
日本負荷試験テクノ株式会社 代表取締役 事業内容:変電・発電設備の点検・保守および総合負荷試験の実施、その他周辺サービスの提供、小売り電気事業 設立:2017年4月 所在地:東京都豊島区池袋2-54-12 日宝池袋第一ビル5F URL:http://fukashiken-techno.jp 1972年生まれ。2003年10月、BtoC向け事業で創業。以来、個人、一般家庭向けの商品、サービスを中心に事業を多角化。17年4月、日本負荷試験テクノ株式会社を設立した。
特集ニッチな世界にビジネスの明かりを灯す
1.市場攻略のカギは 「顧客のために 手間を惜しまない」
法令改正、規制緩和はビジネスチャンスの宝庫と言われるが、実際のところ、そうそうチャンスをものにできるものではない。メディアを賑わすような大きな話題であれば、それだけ参入を図る企業が多くなり、限られた人にしか影響を及ぼさないようなものならば、市場を切り拓くのに手間と時間を要することになるからだ。
しかし、「ビル管理」関連という緩いつながりの、2つのニッチな世界で着実にチャンスをものにしようとしている熱き経営者がいる。2017年4月に日本負荷試験テクノを設立した菅嶋大輔である。
菅嶋がチャンスを見出した2つのニッチな世界というのは、2012年6月の「消防法改正」と、2000年3月から段階的に行なわれてきた「電力小売りの自由化」だ。
11年の東日本大震災時、非常用発電機の多くが整備不良により正常に作動しなかったということがあり、それを受けて消防法が改正され「1年に1回、非常用電源施設には負荷試験点検(非常時と同じような負荷をかけ、個々の機械が正常に作動するかを点検する)が義務付け」られた。非常用発電機というのは、少し大きめのビルには設置されている「いざというときに、消火栓ポンプ、スプリンクラー、排煙口などを動かす重要な機械」で、国内に130万台規模の設置があるといわれている。
新電力(既存の大手電力会社とは異なる電気事業者)による電気小売りは16年4月に全面自由化されたが、菅嶋が着目したのは、最近もテレビやWeb等で盛んに広告展開されている一般家庭向けの「低圧」ではなく、中小ビルや商業施設が対象の「高圧」だ。04年から進められている「高圧」の自由化だが、「対象となる施設すべてにまだ営業は終わっていない」と踏んでいるからだ。
菅嶋は現在のBtoBビジネスに携わる以前、「顧客のために手間を惜しまない」という考えのもとで、長年、消費者向けビジネスを手がけてきた。「ビル管理関連とはまったくの門外漢としてこの世界に入ったから、業界の体質を気にすることなく、これまでと同じ営業スタイルを貫けている」と語る。
本格的な事業開始から1年余り。
負荷試験点検では、都内消防署で実施したのをはじめ、大手デベロッパーのマンション、病院、老人ホーム、商業施設などさまざまな施工実績がある。官公庁からの信頼も厚く、区役所、市役所、小中学校などからの依頼も増えているという。
一方、「高圧」電力の販売(代理店)は、負荷試験点検が軌道に乗ってからのスタートだが、「『(新電力の話は)よそから聞いたからもういい』というお客様でも、当社からの提案で『従来比10〜20%の電力料削減になる』という可能性を知ると、表情がガラリと変わる」というように手ごたえは十分だ。