「川上から川中、そして川下まで」の事業が組織を強くする

 世界有数のハーブティーブランド『ポンパドール』や日本初の輸入塩『クレイジーソルト』。誰もが知る商品だが、これらを一手に引き受ける会社があることを知る人は少ない。それが日本緑茶センター株式会社だ。1969年に北島勇・代表取締役が会社を起こし、腕一本でさまざまな事業を成功に導いてきた。当時、馴染みのなかったハーブティを若い女性を対象に「フラワーティ」と呼んで流行らせた北島は、そのパイオニア的存在だ。


「前例のないことを常にやり続けた。ただし、私に才覚があったという話ではない。だれかが前例のないことを思いついたとすれば、必ず世界中の何十人という人たちも思いついている。だから、私がだれよりも先に行動し続けた」
 そして、北島の前例のない取り組みは組織にも及ぶ。一般的な企業は、商社なら商社、メーカーならメーカーの仕事をし、その枠内で努力し続ける。だが、それでは絶対にかなわないと北島は語る。


「中小零細が前例のないことをやっても、大企業にすぐ真似され、規模で負けてしまう。そこで、商売敵として戦うだけでなく、協会を作り、他の中小企業のみんなを味方にした。そのためにも、うちは川上から川下まで総合的にやらなければならないのだ」


 北島の辣腕ぶりはわかるが、こうした企業はワンマンになりがち。しかし、決してそんな組織ではない。


「確かに、マーケティングに関しては誰にも負けない自信がある。しかし、うちは何でもやっている。即ち貿易部は商社、商品部はいわばメーカー。部署ごとにやっていることが違い、そこの人たちにはかなわない。総合的な経営なのでワンマン体制にはなり得ない。責任の大きさは別だが、当社ではみなイーブンの関係を築いている」

 

 

3年以内に「生産」に着手する

 さらに、個人の能力を最大限に発揮できるように部署の異動は柔軟に対応する。「本人の希望で異動ができる。いま営業で活躍している人は、もとは店舗事業部にいた人で店長をやっていた。やりたいことをするのが、一番いい。社内で天職を見つけてもらう」


 この環境が、企業が大きくなっても事業が弱まらない理由なのだ。また、多くの中途採用を行なっており、選ぶべき人材をこう説く。


「まず、正直であること。そして、困難に取り組む勇気、それに加えて好奇心を持っている人がいいですね。そういう人に対しては何でもできる会社であるわけですから……」


 企業の寿命は30年と言われるなか、今年で45年になる同社。北島は確かな自信を見せる。


「おかげさまで、社員の数や力はグングン伸びてきた。しかしその際、残念ながらこぼれ落ちてしまう人もいる。ところがちゃんとそれ以上に見合う人がそこに入ってくる。だから、常にいまいる人たちが、最高の組織人である。そして、5年後、10年後に残れるように私を含め、みなひたすら努力し続けなければいけない」


 今後の展開として、北島は農業事業を行なおうとしている。


「これまで、川上から川下までやってきたが、生産だけはやっていなかった。3年以内に形にし、年商30億円から50億円を目指したい」

 

 

*『CEO社長情報』vol.12掲載

|プロフィール

北島 勇(きたじま・いさむ)

1939年東京都生まれ。62年慶應義塾大学法学部卒業。69年日本緑茶振興センター(現・日本緑茶センター)を開業、80年現社名に変更。日本モロッコ協会理事長、日本ハーブ協会連絡協議会理事、東京商工会議所新宿支部貿易分科会長、日本中国茶普及協会会長、日本マテ茶協会会長などの役職を兼任。著書に『二十一世紀を生きるティーライフ健康法』(誠文堂新光社)など多数。