あえてデータベースを持たない戦略でリサーチ業界を席巻

 リサーチ会社が数あるなか、自社でデータベースを保有していないクロス・マーケティング。「意外に思われるかもしれませんが、実は理に適っているのです」そう語るのは、株式会社クロス・マーケティンググループの五十嵐幹・代表取締役社長兼CEOだ。


「私たちは単なるデータ提供型のリサーチ会社ではありません。お客様のビジネスを成功に導くべく、その〝意思決定〟のためのサービスを提供しているのです。


 従来のリサーチでは、自社が確保するデータベースに依存することが多く、そのため調査対象がいなければ調査実施することが出来ず、結果として、お客様のご要望に柔軟かつタイムリーに対応することが難しかったのです。そこで当社では、顧客ごとに適したデータベースを〝市場〟から用意するというビジネスモデルを選択しました。お客様のご要望ごとに最適なデータベースをスピーディに集めます。そのうえで、目的に合った調査手法をカスタマイズします。この戦略をもとに、多数のプレイヤーが存在するこの業界に挑戦し、成長を遂げてきました」


 言うは易く行なうは難し。五十嵐の考える戦略には、高い個の力と組織の力が必要とされる。しかし、クロス・マーケティングは結果を出し続けている。そこには五十嵐の考える組織論が生きていた。


「まず、個の力を最大限に引き上げるために個々の評価基準を明確にします。当社のビジネスは、専門性を要する仕事も多いため、職務や能力に焦点を当てた目標設計や評価がとても大切になります。その個の力を最大限に活かしたうえで、組織力向上に向けた横軸のシナジーを活性化させます」

 

 

社員の3分の1が外国人のグローバル企業

 組織活性には、コミュニケーションの〝量〟の担保が必要不可欠だと五十嵐は続ける。


「オーソドックスですが、社員旅行や懇親会という『場づくり』を大事にしています。とにかく徹底的に話し合う、これに尽きます。厳しい話や耳の痛い話が出ることもあるでしょう。しかし、そこはきちんと声に出し解決すべき、そういった機会としても『場づくり』が重要なのです」


 また、クロス・マーケティングでは社員自体の〝質〟を向上させるべく採用にも力を入れている。


「既存社員の刺激にもなることで、社員全体の質の向上につながりますので、優秀な人材の獲得は会社の戦略のなかでも最重要項目です。ここ数年は海外での採用も始めています」


 現在、上海、シンガポール、インドに拠点があり、関連会社を含めると、約3分の1が外国人というグローバル企業だ。


 そして五十嵐は、会社の在り方についてこう語った。


「私たちのビジネスの出発点はインターネットリサーチ事業でした。しかし、現在は企業の意思決定を支援するアジアナンバーワンの総合マーケティング・カンパニーを目指しています。今後さらなる成長を志す当社は、高い自己成長を望む方にとってとても最適な環境だと自負しています」

 

 

*『CEO社長情報』vol.12掲載

 

|プロフィール

五十嵐 幹(いがらし・みき)

1973年東京都生まれ。96年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本アジア投資株式会社に入社。2000年にITベンチャーの創業に参画し、取締役に就任。03年にネットリサーチ事業を中心とした株式会社クロス・マーケティングを設立、代表取締役社長兼CEOに就任。08年に同社は東証マザーズに上場。13年6月に持株会社の株式会社クロス・マーケティンググループを設立。現在アジアNo.1マーケティングカンパニーを目指して前進を続けている。