株式会社マルハン 韓裕

Guest Profile

韓 裕(はん・ゆう)

1963年京都府生まれ。京都商業野球部在籍時、第63回全国高校野球選手権大会では準優勝を経験。88年法政大学卒業後、株式会社地産入社。90年株式会社マルハンコーポレーション入社、取締役に就任。95年プロジェクトリーダーとして「マルハンパチンコタワー渋谷」をオープンし、成功へ導く。取締役営業統括本部長、常務取締役営業本部長を経て、2008年6月代表取締役に就任、現在に至る。

特集ホテルや飲食店に負けないおもてなし“遊”と“食”との複合施設などの提供で、新旧ファンを楽しませる

1.新台の機種選定は戦略的に高いコスト構造を改善する

 現在パチンコ業界は、遊技人口の減少が顕著となっている。レジャー白書によれば、1995年~96年のピーク時には約3000万人であった遊技人口が、いまではその3分の1の1000万人まで減少している。
 こうしたパチンコ業界全体が厳しくなった原因は、パチンコ業界が近年高コスト体質となり、身近な娯楽としては高価すぎる遊びになってしまっていることが挙げられる。ハード面では、遊技機は高品質な液晶、音響、デザインを兼ね備えた高額なものとなり、またパチンコホールは大型アミューズメント施設へと変貌し、巨額の初期投資とランニングコストが伴うものとなってしまっている。ソフト面では、過剰なサービスによる人件費、経費が増加している。パチンコ業界ではこうした高コスト体質の改善が大きな課題だ。
 当社では、このような高コスト体質からの脱却に向けてあらゆる経費を見直し、経費削減に着手している。また高額となった遊技機については、営業戦略部が中心となってメーカー各社が開発した遊技機をどう活かしていくのかを考え厳選導入を行なっている。
 こうした取り組みを経て、高コスト体質から脱却し、多くのお客様に楽しんでもらえるパチンコホールを目指していく。

2.イズムの芽、質の高い接客で「パチンコ業界を変える!」

 当社では、「人生にヨロコビを」を経営理念としており、多くの方に「私たちが提供するサービスを通じて、お客様の人生の一場面にヨロコビを添えたい」と日々業務に励んでいる。そのため、店舗では従業員によるハイクオリティなおもてなしによる接客を徹底している。たくさんあるパチンコ店のなかからマルハンを選んでもらい、リピーターになっていただくわけだから、それ相応のサービスが必要になる。お客様を名前で呼ぶ、従業員同士で情報を共有するといったことは当然として、飲食店やホテル以上の接客を目指している。また、景品に関しては有名シェフや有名店の賞品(食品やワインなど)を用意するなど、賞品にもストーリーを感じてもらえるよう工夫を凝らしている。
新しいファンの拡大にも取り組んでいる。パチンコをしない層や以前までパチンコをしていた人たちをターゲットとしたモデル店舗「ハーベストガーデン千葉北店」を2012年4月にオープンした。モデル店舗では、パチンコを始める「きっかけ」を創造しようと、これまでのパチンコホールのあらゆるサービスを見直し、パチンコホールとデリ&ビュッフェを融合させた複合施設とした。
 われわれには「パチンコ業界を変える!」という強い意志がある。だからこそ、こうした創意工夫と接客に注力していけるわけだが、社員の採用についても、「業界を変える」という当社の理念「マルハンイズム」に強い共感を抱いた人たちを積極的に採用している。
 パチンコ業界を変えるということは、自分たちが変わることでもある。当社では「縁の下の力持ち」のような小さな努力、接客に対する姿勢であっても、それを周りがしっかりと見つけ、店舗からエリアへ、さらに本部まで吸い上げて1万3000人の全従業員で共有するということを徹底している。社内ではそれをイズムの芽と呼び、従業員全員が一丸となって変化を成し遂げていく原動力ともなっている

3.全国500店舗の目標達成には人材の育成が不可欠

 「人材の育成なくして企業の成長はない」と考えている。最近は店舗の大型化に伴って40~80人体制での店舗運営が必要であり、マネージャーを育て、店長を育て、幹部候補生を生み出していける組織にならなければいけない。静岡県伊東にあるマルハンビジネススクールでは定期的に社員教育を行なってもいる。今後は、人口集中地域を中心に年間15店舗を出店し、現在の約300店舗から将来的に500店舗程度にまで増やす計画だ。
 地方での出店の場合、こちらの企業規模が大きいからといって、出店すればお客様がついてくるというものでもない。地域に根差した地元の同業他社との競合も避けられない。だから、われわれは「業界を変える」という強い気持ちと、飲食店やホテルにも負けないハイクオリティな接客を武器に出店を続けていく。こうした明確な変革への意識がなければ、大手といえども生き残れない時代だ。

4.松竹、アミューズとのコラボで複合型エンタメ施設を開業

 当社では、有名シェフなどとコラボレーションした飲食店を併設したり、エンターテインメント企業との幅広いコラボレーションにも取り組んでいる。
 観光名所の浅草ではいま、複数の再開発プロジェクトが進んでいる。当社でも、映画製作や劇場を展開する松竹株式会社、芸能プロダクションの株式会社アミューズ、観光業のセグラスグループホールディングス株式会社と共同で、劇場、飲食店、遊技施設を備えた複合型エンターテインメント施設「マルハン松竹六区タワー」を作るプロジェクトに関わっており、14年12月の開業を目指している。
 これからは、パチンコ、スロット、劇場、飲食店など複合型の施設を提案することが、時代の求めるショービジネスの形ではないかと考えている。新しい価値やサービスを創出し、多くの人たちに提供していくことが、われわれのあるべき未来の姿だと信じている。

TO PAGE TOP