「ゆかり」を通じてご縁をつなぐ
贈答サービス分野のオンリーワン企業を目指す

焼きたてのおいしさにこだわり製造年月日を表示

櫻田 「第1回全国お土産総選挙(テレビ朝日系列、お願い!ランキングGOLD)」で、『ゆかり』の第3位入賞、おめでとうございます。

 

坂 ありがとうございます。お客様には感謝の気持ちでいっぱいです。あのあと、一番うれしかったのは、工場や売場で社員と顔を合わせると、みんなから「やったね!」という思いが伝わってきたこと。社員全員で築いてきたものが認められたわけですから、感謝とともに大変誇りに思います。

 

櫻田 『ゆかり』が発売されて半世紀近くになりますが、多くのお客様に愛され続けている理由とその秘訣を教えてください。

 

坂角総本舗・坂英臣 氏

坂 「ゆかりは贈って間違いのない商品」「困ったときはゆかり」。お客様は、そんなふうにおっしゃってくださるんですね。この信頼感はわが社にとっての宝物です。

  そのために社員にいつも言っているのは「最高品質のおいしさを常に愚直に求め続けよう」ということ。そのあたりがロングセラーの秘訣ではないでしょうか。たとえば、『ゆかり』のパッケージには賞味期限だけでなく、あえて製造年月日も入れています。当然、賞味期限内はおいしく召し上がっていただけるのですが、そのなかでもやっぱり焼きたてが一番おいしい。ですから、製造日を入れて、焼きたてをお届けすることに徹底的にこだわっているんです。

 

櫻田 法的にはおせんべいのような干菓子は賞味期限だけでいいわけですよね。会社にとって負担にはなりませんか。

 

 はい。正直言って、すごく大変です(笑)。でも、いまのお客様は賞味期限や製造日を必ずチェックされます。賞味期限はまだずいぶん先でも製造日をご覧になって、『おたくのような一流百貨店でも10日も経った商品を販売するんですか』って、お叱りを受けるんですよ。ですから、いかに在庫を少なくして常に新鮮な商品をお届けするかということに全力で取り組んでいます。

 

櫻田 おせんべいだけど、生菓子と同じとらえ方なんですね。製造日を入れ始めたのは何かきっかけが?

 

 以前は、干菓子ですので日持ちするということを強みと考えていました。一方で、焼きたてが一番おいしいということとの矛盾を感じたときに、「日持ちすることにあぐらをかいていた」と気づきました。最高品質のおいしさを目指す企業であるためには、出来たてが一番の生菓子と同じ感覚でやらないとダメだということで始めました。
 6年ほど前、菓子メーカーの賞味期限に関する不祥事が続いたとき、そのうちの一社は営業再開の際、製造年月日を表示するようになりました。やっぱり私たちのやっていることは間違っていなかったと、再確認した次第です。

 

櫻田 つまり、5歩も10歩も先を行かれていたというわけですね。あくまでもおいしさを追求する、その精神はどのようにして社員に浸透させているのですか。

 

 そうですね。ちょうど21世紀を迎える前に、20年先、30年先に坂角を支える人たちに集まってもらい、企業理念を再構築しました。目指すは「贈答サービス分野のオンリーワン企業」。贈答品は星の数ほどあるけれど、そのなかでいつの時代も変わらず、「もらってうれしい」「贈って楽しい」坂角であり続けようと、社員みんなで心を一つにしたわけです。

 

 

大切なのは売上げではなく「坂角」のブランド力を高めること

FutureOne・櫻田浩 氏

櫻田 経営という視点では、売上拡大、利益増加のどちらをより重視されているのでしょうか。

 

 売上げも利益も大事だとは思っています。ただし、目的を実現するための手段として必要になる、という認識です。では、何が目的かというと、お客様に喜んでいただくために「坂角のブランド力を高めること」です。そのためには、目先の数字を追うことよりも、日々、お客様の期待に応えられるように商品・サービスをブラッシュアップし続けていくことが重要です。その点においては、決して妥協はしないという姿勢を貫いています。

 

櫻田 2011年4月にシンガポール髙島屋さんに店舗をオープンしたのも、その一つですね。

 

 シンガポール髙島屋さんは海外展開で成功している百貨店のなかの一つです。お誘いをいただいた際、決め手となったのは、アジアの20億、30億の人たちを対象に商売をすると話されていたこと。当社も日本の贈答文化を海外に発信したいという思いを抱いて出店しました。

 

櫻田 シンガポールは一人当たりのGDPが日本を抜いてアジアトップ。他のアジア諸国もだんだん日本を追い上げてくる。いずれ国内以上のマーケットに成長するのではないでしょうか。
情報から「すぐやる」

 

 

「いまやる」「その場でやる」に直結させる

櫻田 今回、情報システムの再構築をお手伝いさせていただきましたが、情報システムに最も期待されることは何でしょうか。

 

 インフォメーションをインテリジェンスに変えることです。今回の再構築で坂角全体の情報の流れが一つにまとまりました。次の段階では、それをインテリジェンスにすること、つまり誰もが知っている情報から、「ブランド力を高める」ことに役立つ情報に変わるシステムになってほしいということです。

 

櫻田 具体的にいうと?

 

 当社では一人ひとりの社員が「すぐやる」「いまやる」「その場でやる」のスピード感を持って取り組んでいます。情報をこのリアルタイムアクションに結びつけられるようになっていくといいですね。

 

櫻田 なるほど。「いまこういう行動を起こすべき」といったことを素早く察知できる情報に、ということですね。当社もシステムを作ってハイ、終わりではなく、それを企業価値向上に役立てていただけるようご提案をさせていただきます。本日はありがとうございました。

 

 

*『CEO社長情報』vol.10掲載

 

※同社は、社員が仕事と生活の調和を図ることができるよう積極的に取り組んでいる企業として、2002年、愛知県ファミリー・フレンドリー企業の表彰を受けています。

 

|ゲストプロフィール

坂 英臣(ばん・ひでおみ)

1961年生まれ。86年、株式会社坂角総本舖に入社。その後、製造部長、開発室長、総務部長を経て、2006年3月より現職。

 

業 種●えびせんべいの製造販売
設 立●1953年(創業1889年)
資本金●8000万円
売上高●101億円(2013年2月期)
住 所●愛知県東海市荒尾町甚造15番地1
電 話●052-603-5111
URL●http://www.bankaku.co.jp/