先輩経営者のアドバイスに耳を傾け
フロー型ビジネスからストック型へと転換。
創業以来20期連続の増収を達成

空き駐車場へのマッチングが原点のビジネス

櫻田 われわれITをやっている人間からすると、空き駐車場を埋めていくというのは難しい仕事じゃないかと思うのですが、巽社長はなぜこのビジネスに着目されたのでしょうか。

 

 1991(平成3)年に「車庫法改正」がありまして、駐車場の確保がなければ自動車を持てなくなったんです。一方で「農地の宅地並み課税」で、税金対策から駐車場に転用された土地もたくさんありました。両者を仲介することで、手堅い商売ができたんです。

 

櫻田 しかし、そういうのは、地元の不動産屋さんが仕切っているものではなかったのですか?

 

 不動産屋さんは建物一棟を仲介すると、何千万円と入ってくる商売でしょう。月額数万円の駐車場なんて、ヤル気ないんです。ところが、私は実家が酒屋なのですが、ビールのケースを団地の上階まで届けても、1000円程度の実入りです。場所貸しで数万円貰えるなら「めっちゃええやん!」と。

 

櫻田 なるほど。それで駐車場を専門に管理する会社を立ち上げられたわけですね。

 

日本駐車場開発

日本駐車場開発・ 巽一久氏

 ええ。当時はお客さんをつけたら、毎月の一定のフィーがもらえる形で、管理物件がどんどん増えていました。そうしたら2年目に新聞に取り上げられ、大手不動産会社や生命保険会社から問い合わせがくるようになったんです。

 

櫻田 ほう、不動産会社がですか。自分たちではやらないんですね。

 

 そこなんです。そういう会社は、自社や子会社で管理はできるのですが、お客さんを探すノウハウがないと。だから「お客さんだけつけてくればいい」と言われました。私としては細く長くフィーをいただく商売が良かったのですが「紹介料を年間賃貸料の2ヵ月分にするから、管理料の前払いだと思って割り切りなさい」と言われまして。

 

櫻田 えっ、営業先に言われてですか。それで、受けられたと。

 

 そうです。で、それをきっかけに周辺にリサーチしてみましたら、同じようにテナント以外に貸すという発想がないために、空いているビルの駐車場がたくさんありました。一方で、利用する側にも、使い勝手やコストの面で不満があることがわかったんです。その〝マッチング〟をどんどんやって行ったんです。

 

 

内定出した学生には週3~5回、現場でアルバイトをさせる

櫻田 なるほどですね。しかし「仲介」は、現在のメインでやられている「時間貸し/月極」や「運営受託」とは、違いますよね。

 

 それはセコムの飯田亮会長(現取締役最高顧問)のアドバイスです。飯田さんとはブイネット・ジャパンのCEO塾で知り合って「上場するなら出資する」と言っていただいていたので、ノコノコとお願いに上がったんです。そうしたら突然「仲介料で儲けるようなフローなビジネスは卑しいからダメだ」と言われまして。

 

FutureOne

FutureOne・櫻田浩氏

櫻田 何となく想像つきます。強烈な方ですからね(笑)

 

 もうびっくりするやら悔しいやら、その場ですぐ「もう仲介はやめや!」と決めたんです。それから、場所を仕入れてウチのリスクで管理するビジネスに切り替えたのですが、いまとなってはありがたい助言でした。アルバイトよりも正社員を多くしているのも、飯田さんのアドバイスです。

 

櫻田 そうでしたか。御社は新卒採用を積極的に行なわれていますが、社員教育などはどのようにされておられますか。

 

 ウチは内定を出した学生には週3〜5回、現場でアルバイトをするように言うんです。ですから入社するまでの半年間で、現場訓練はできてしまいます。なので4月の1ヵ月間はスキー場での合宿研修や、基本的な新人研修を行ない、5月から配属です。

 

櫻田 そうなんですか! それは非常に、よくできた制度ですね。

 

 学生にとっても正規の時給がもらえるわけですから、モチベーションは高いです。意欲がある学生は、早く仕事を覚えたがりますからね。そこで積極的に取り組まない学生は、内定を出しても辞退する学生なので、こちらとしても人数が読めるというわけで。

 

 

10億円規模の会社を100個作る目標連結1000億円

櫻田 聞けば聞くほど感心です。それで、どういった人材を育てようとしておられるわけでしょうか。

 

 新卒が入ってきたら「経営の練習をしなさい」と言っています。ウチはすぐに2000万~6000万円の利益が出る物件の〝店長〟に据えるんです。そうして、売上げと原価と粗利と販管費を全部管理させる。そうすると、周辺のマーケティングからアルバイトのマネジメントまで、全部やらなくてはならないわけです。それを膨らませたら、会社が経営できるんだよと言うことで。

 

櫻田 それは嫌でも経営感覚が身につきますね。やる気のある若者にとっては、やりがいを感じるところでしょう。それが御社の将来の経営戦略にもなっていると。

 

 そうです。私にはとても営業利益1000億円の企業を作る才覚はないので、営業利益で1社10億円規模の子会社を100社作って、連結で1000億円にしようというのが目標です。将来は海外にも出ていくことになると思うのですが、経営センスのある人材がいれば、どこに行っても需要と供給のギャップを見つけて、ビジネスを立ち上げてくれるでしょう。

 

ほんまのこと

櫻田 若い社員から、事業の提案などはありますか。

 

 あるにはあります99・百パーセント、モノにならないものですよ(笑)。事業というより〝アイデア〟の段階で。いまはまだ、新規事業の約7割は自分で考えていますが、私の興味のない分野もありますのでね。理想は「スキー場経営」のパターンですね。

 

櫻田 御社は子会社にスキー場経営の「日本スキー場開発」がありますが、それがそうですね。

 

 あれは副社長が「命がけでやる」と始めて、7シーズン目になります。おかげさまで非常に順調で、前期は過去10年で最高の来場者数を更新しました。分野やシナジーは問いませんが、経営を担う人間が寝食を忘れて情熱を注いでくれる子会社を、たくさん作っていくというのが、私の目指すところです。

 

櫻田 素晴らしい、非常に夢のあるお話です。本日はどうもありがとうございました。 

 

 

 

|ゲストプロフィール

巽 一久(たつみ・かずひさ)

1968年大阪府生まれ。90年大谷大学卒業。在学中はイベント業や飲食業などで数々の学生ベンチャーを成功させ、大学卒業後、91年12月、自宅の自室に1本の電話線を引き当社を創業。「関わる人全てがハッピーなビジネスを」を経営理念に駐車場総合コンサルティングビジネスを構築。2005年東証一部上場。創業以来20期にわたり増収を続けている。

 

業 種●不動産業
設 立●1991年12月
資本金● 5億6800万円
売上高●105億9100万円(連結 12年7月期実績)
住 所●大阪府大阪市北区小松原2-4 大阪富国生命ビル
電 話●06-6360-2353
URL●http://www.n-p-d.co.jp/