2800人を毎月1番から最下位までをランキング
独自の評価システムで

営業マンのモチベーションをキープする

300年以上変わらぬビジネスモデルで日本制覇!

白石 実は配置薬というのは、以前僕がオフィス向けにやろうとしていたビジネスモデルの原型で、とても興味があるんです。

 

高柳 うちの場合、1930年、富山で私の祖父が始め、54年に、得意先の多かった大宮市(現さいたま市)で法人化しました。

 

白石 そもそも薬は、なぜ富山なんでしょう?

 

富士薬品

富士薬品・高柳昌幸氏

高柳 配置薬販売は300年以上前、元禄時代に富山で始まった商法です。当時の富山藩は加賀百万石の支藩で、弱小国でした。そこで2代目藩主・前田正甫が産業を起こすために目をつけたのが薬だった。うまくいったのは、お客様に薬を預け、その後定期的に訪問して使った分だけお金をいただく「先用後利(せんようこうり)」という独特の販売スタイルを確立したからです。

 

白石 配置薬の会社は何百社もあるわけですが、そのなかで御社が唯一、全国展開を果たせたという理由はどこにあるのでしょう?

 

高柳 他社との差別化を考えたということでしょうか。

 

白石 具体的にいうと?

 

高柳 昭和40年代、薬は定価販売の時代でどの薬にも定価が表示されていました。当時はインフレですから5年も経てばモノの価値も変わる。そこでうちでは特別にパッケージに値段を入れず、価格表に価格を表示するようにしたんです。

 

白石 なるほど。そうすれば、時代に合わせて価格表だけ変えられる。

 

高柳 ええ。それと配置薬の自社製造を始めたことも大きい。

 

 

配置薬の自社生産と人材マネジメントで営業マンの離脱を防止

ベネフィットワン

ベネフィット・ワン白石徳生氏

白石 現在、営業マンはどのくらいいますか。

 

高柳 約2800人。実はこの配置薬ビジネスは、営業マンの不正との戦いなんです。代金を受け取っても、売掛けのままにしておけば自分のポケットに入れてもバレない。それで先代である父は、とにかく人のマネジメントをしっかりしようとその仕組みを作り上げました。毎年1000人、ほぼ全員の営業マンと面談していたんですよ。

 

白石 へぇーっ、それはすごい。全員面談はいまも?

 

高柳 さすがにいまは、年1回、3ヵ月かけて所長300人と面談する程度です。でもその代わり、不正につながりやすいチェック項目をデータベース化して、ちょっとでもおかしな動きがあるとエラーが出るシステムを作りました。

 

白石 なるほど。ただ営業マンの性格を考えると、システムで管理されるのを嫌うんじゃないですか。

 

高柳 うちの場合は代金を回収して商品を補充してくるだけの営業を認めているわけじゃない。積極的にアプローチしてもらうために、毎月、成績ランキングを1番から2800番まで出しています。もちろん一人ひとり得意先も目標値も違うので、評価に不公平感が出ないような仕組みにし、その総合点で順位を決める。『今月、あなたは○位で、このままいくと賞与は○○円になる』というところまで伝えています。

 

白石 あの手この手でモチベーションを上げているわけですね。

 

 

全国350万件の販売ネットワークで高齢化社会にも貢献

白石 配置薬業界の現状は、どんな感じなんですか。

 

高柳 市場規模は10年前の半分になりました。ドラッグストアの影響が大きいですね。

 

白石 それで自らも進出されたと。

 

高柳 はい。いま約1000店舗あって、売上げはドラッグストアが圧倒的ですが、利益で見ると配置薬が半分を稼いでいます。

 

白石 利益率が高い自社製品を持っているというのは大きいですね。配置薬のお客様はどのくらい?

 

高柳 全国に約350万件。そのメインは、田舎に住むお年寄り。担当の営業マンが行くと、「よく来てくれたね」ってすごく喜んでもらえるのがうれしいですね。これから先、一人暮らしのお年寄りがますます増えていきますから、単に薬を届けるだけでなく、お年寄りを見守るお役に立てれば。

 

成長の秘策ゴチになります

白石 そうした意味でも、配置薬ビジネスの意義は大きいですね。うちでも使わせてもらっていますが、法人のお客様はどれくらい?

 

高柳 全体の約20%、75万件。外食チェーンや私鉄など店舗や拠点が多数ある法人、小規模な個人事業所が中心です。いわゆる救急箱のアウトソーシングですね。

 

白石 私は風邪をひくと、もっぱら御社の「ジキナ」です。

 

高柳 ありがとうございます(笑)。「ジキナ」は、パブロン、ルル、ベンザの3大ブランドに次ぐ売上げの商品です。

 

白石 今後目指すところは?

 

高柳 これまでに築き上げたネットワークをどう有効活用するか。昔のような御用聞きができないかと考えています。また、海外の途上国にもこの配置薬ビジネスを展開できたらと考えています。

 

白石 配置薬ネットワークを活用したビジネスアイデアはたくさん出てきそうですね。本日はありがとうございました!

 

 

*『CEO社長情報』vol.12掲載

 

|ゲストプロフィール

高柳昌幸(たかやなぎ・まさゆき)

1961年さいたま市生まれ。84年明治薬科大学薬学部卒業後、武田薬品工業を経て89年に株式会社富士薬品入社。2005年6月に同社代表取締役社長に就任。
*富士薬品は富山の配置薬販売業から始まり、ドラッグストア・調剤薬局・医薬品製造まで行なう複合型医薬品企業。現在は積極的にM&Aを行ない、ドラッグストアの全国展開を目指すとともに、2013年9月には、自社開発した医療用医薬品の新薬(痛風薬)を新発売した。