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情報量と仕事のスピードは 普通の会社の約3倍。

強さの源は「Do the right thing」をやり通す力にあり

グーグルって何の会社? 日本法人は?

 

有馬誠

グーグル日本法人・有馬誠氏

白石 私と有馬さんには人材派遣のパソナにいたという共通点があるんですよね。

 

有馬 一時期パソナキャレント(現パソナ パソナキャリアカンパニー)の社長をやらせてもらっていましたね。

 

白石 グーグルがどんな会社かわかっているようでわかってないところがたくさんあって(笑)、まず、グーグル日本法人はどんな仕事を?

 

有馬 日本法人はグーグルとして初の海外オフィスなんです。グーグルは1998年に創業されていますが、その3年後の2001年には日本支社を設立しました。

 

白石 日本法人にいるエンジニアの方は英語のものを日本仕様にする仕事をされているんですか?

 

有馬 いいえ、違います。日本法人にいるから日本のことをやらなければならないという縛りはまったくない。日本が好きだからと、ノン・ジャパニーズの人も多く働いていますし、当たり前のように、ロシアの地図や中国の地図を作ったりしています。

 

白石 その場合の指揮命令系統はどうなりますか?

 

有馬 GEOという地図担当のチームがあり、そのメンバーが日本でも働いています。。

僕が日本チームを管理しているというより、そのチームの機能の一部が日本にもある。グーグルには世界中に70以上のオフィスがありますが、プロダクトラインごとに一つのグーグルという組織ができあがっているというイメージです

 

白石 そうなると代表取締役の仕事が謎ですね(笑)。日本法人での有馬さんの役割、マネジメントのプライオリティを3つ挙げるとしたら?

 

有馬 1つは広告営業の仕事を最適化、最大化すること。2つ目は困っているチームを助けること。3つ目が、たとえば震災時の対応や選挙時のプラットフォーム提供のように、日本のグーグルがやっていることを世の中に伝えることですね。

 

 

20%ルールと「10の事実」が新規プロジェクトを加速する

ベネフィットワン

ベネフィット・ワン白石徳生氏

白石 創業以来、急成長を続けられている秘訣は何なんですか?

 

有馬 「世界中のすべてのサイトを瞬時に調べられれば、いまどのサイトがよく訪問されているかわかるよね」というような、創業者の桁外れに大きな発想と、どんどん優秀な人材が集まってくるということでしょうか。ほとんどの人が「グーグルは自分が支えている」と思っていますよ。決済までに時間のかかる稟議もグーグルにはありません。

 

白石 新規プロジェクトの立ち上げのときとか、混乱しませんか。

 

有馬 まずありませんね。何か新しいことを始めるというときには、仲間をどうやって集めるか、起案者には強いリーダーシップが求められます。
 新規プロジェクトへのエントリーには2つのやり方があって、いまの仕事をやりつつ、プラスアルファで新規事業に関わるというのと、自ら手を上げて異動を希望するというものとがあります。前者の場合には「20%ルール」があって、自分の時間の20%は本業以外のことに時間を費やしてもいいという運用ルールです。実際には20%といいながら50%くらいやっている人もいるんだけど(笑)。

 

白石 他社と比べたときグーグルの強さはどこにあると思いますか?

 

有馬 現状に満足せずとことん考え抜くという発想力と、常にユーザーありきという考え方の徹底でしょうか。「Google が掲げる 10 の事実」という社是の最初に、「ユーザーに焦点を絞れば他のものはみな後からついてくる」というのがあります。ユーザーが便利と感じ、興奮しながら使いまくるという原点があってこそ、ユーザーが増えるという考えです。

 

白石 御社の成長は、社是に則ってやってきたことなんですね。

 

 

Don't be evil ! 儲けのためにずるはしない

有馬 たとえばグーグルのキーワード広告の場合、検索した言葉と関連度合が高ければ高いほど、広告費に関係なく上位に表示される。いくらお金を積んでも、関連度合いが高くなければ上には上がらない。

 

白石 そこは曲げないわけですね。

 

有馬 絶対に曲げない。また、これも社是にあるんですが、「悪事を働かなくてもお金は稼げる(Don't
be evil !)」と言ってます。儲けるためにずるいことをするのは絶対やめようよと。たとえば、どの規模のお客様にも定価でサービスを提供するなど、フェアに考えています。。
 うちではevilな例を見つけたら誰でも委員会に報告するという社内ルールがあって、代表取締役自らがそのevilをバスターする(笑)。

 

白石 僕の会社でもたまに見つけます(笑)。しかし、正義ばかりじゃしんどいから、もっと楽をして稼ごうかという発想にはなりませんか。

 

成長の秘策ゴチになります

有馬 もちろん営業であれば、数字に対するコミットは強いです。でも根本は、正しいことを必死になってやっているかどうかです。3ヵ月やってダメだったらやり方を変えればいい。そうしていれば、いずれ結果はついてくる。

 それに、アメリカでは過去10年間の株価の上昇率を見てみると、理念を強く掲げている企業のほうが、そうでない企業よりも上昇率が高いと証明されているそうですよ。

 どんな手を使ってでもお金を持ってこいという発想は社内にはありません。

 

白石 「Do the right thing !」が、企業文化として根づいているんですね。

 

有馬 ある日社員食堂で中途入社の社員に「そろそろ慣れてきた?」と聞いたら、「情報の量や仕事のスピードが以前と比べて3倍くらい違う」と驚いていた。でも「人と人とのストレスがほとんどないから、気持ちよく仕事ができます」と。

 

白石 グーグルの強みはそういうところにあるんですね。わかった気がします。今日はどうもありがとうございました。

 

 

*『CEO社長情報』vol.9掲載

 

|ゲストプロフィール

有馬 誠(ありま・まこと)

1956年大阪市生まれ。80年京都大学工学部卒業。倉敷紡績、リクルートを経て、96年ヤフー株式会社の第一号社員として立ち上げに参画、コンテンツの立ち上げやオンライン広告マーケットの創出に寄与し、インターネットビジネスの中心人物として活躍し。2010年グーグル株式会社入社。10年、同社代表取締役就任。Google日本法人の取締役として日本での事業の責任を負う。