成長の秘策ゴチになります!

HOST

株式会社ベネフィット・ワン
代表取締役社長

白石 徳生氏

GMOインターネット株式会社
代表取締役会長兼社長・グループ代表

熊谷 正寿氏

GUEST

Guest Profile

熊谷 正寿(くまがい・まさとし)

1963年長野県生まれ。「すべての人にインターネット」を合言葉に、日本を代表する総合インターネットグループを目指して、東証一部上場企業グループのGMOインターネットグループを率いる。

第5回一番にこだわらないと生き残れない それも売上げではなく、お客様に喜んでもらうという発想が重要

1.日本の保守本流を目指して

GMOさんというと、IT業界最大手、しかも急成長というイメージがあります。今日はその秘密をじっくり聞かせてください。そもそも、起業を志したのはいつなんですか?

父親が事業家だったので、子供の頃からですね。20代前半にはありとあらゆる事業を研究してました。そこで気づいたのが、自分がやりたいのはひと昔前の鉄道とか石炭、金融のように、経済の保守本流になるような事業だということだったんですね。

新しい時代のインフラをつくる事業ということですね。

そうです。そこに出てきたのがマルチメディア。そこでダイヤル2Qを利用したインターネットプロバイダーを始めたんですよ。一方で、エステティックサロンの経営もしていたんですけど(笑)。

本当ですか? 意外ですね。

母が美容系の事業をしていたもので。でも「やはり本流ではないな」と思っていたところに出てきたのがITです。「これだ!」と、この事業にヒト、モノ、カネ、時間、すべてをつぎ込みました。

インターキューですよね。

そうです。95年に創業して、99年8月に、独立系ネットベンチャーとしては初めてJASDAQに株式上場したんです。

やっぱり急成長ですよね。勝因は何だったと思いますか?

人ですね。リチャードというアメリカの退役軍人との出会いが大きかったんです。優秀なエンジニアを集めるのに苦労していたんですが、彼が来てくれたことで、米軍で衛星を動かしていたような退役軍人のエンジニアがいっぱい入ってきてくれたんですよ。

リチャードさんとはどうやって知り合ったんですか?

彼は取引先の上位プロバイダーにいたんですね。仕事相手として、飲みながら夢を語っているうちに、うちに来てくれることになったんです。

引き抜きではなく?

ええ。お金じゃなく、夢を語っただけでした(笑)。

2.競合他社との差は徹底力の差

あとは絶えず先を見ていたってことでしょうね。上場を目前にしたときには、すでに次の一手を考えてましたから。人口が減り続けている以上、プロバイダー事業は必ず上限がくるでしょう。じゃあ、上限がなく増え続けるのはなんだろう、うちがやって勝てるものはなんだろう……と考えていった。それが、ドメイン、サーバー、セキュリティ、決済という事業だったんです。

そこでも快進撃でしたよね。

お蔭様で。ネットで見る国内のウェブサイトのドメインは8~9割がわれわれのグループで登録したもの。ネット決済、セキュリティも約2割のシェアで、日本最大級の総合インターネットグループになりました。そのベースにあるのは「一番のサービスを提供する」という信念です。

なるほど。でも、どの会社も「一番のサービスを提供しよう」と思っているはずなんですよ。どこでこれだけの差がついてしまうんでしょうね?

それは徹底力だと思いますね。組織力は徹底力なんで。全員が心を合わせて、決めたことは習慣化するくらい徹底する。

習慣化ですか。僕も同じようなことを考えているんですけど、全社員にはなかなか浸透しない。どうしたらいいんでしょうね。

うちは「競合は毎日チェックする」など、実務においても徹底する仕組みを作ってますね。

スローガンで終わらないと。

スローガンもありますよ。「スピリットベンチャー宣言」という社訓にあたるものなんですけど、95年の創業時からスタッフ全員でことあるごとに読むんです。今日も会議で読んできたところです。スカイプで地方や海外事業所ともつないで、60人くらいが声張り上げて。

この宣言、内容が濃いですね。これは社外秘ですか?

いえ、HPで公開してますよ。95年版からどんどん改良しています。いまの時代、一番じゃないとお客さんは喜んでくれませんから。徹底して、一番にこだわらないと生き残れないんです。大事なのは、こだわるポイントが売上げではなく、お客様に喜んでもらうという点であるということ。喜んでもらえれば、売上げも一番になりますから。

3.社内に不満がたまらない仕組みをつくる

あと、どうしてもうかがいたかったのが熊谷さんのマネジメント法。御社の幹部を見ても、皆、独立しても十分やっていけそうな、エッジの効いた面々ばかり。それをどう統率しているんですか?

基本、お任せしているんですよ。僕自身が絶対に曲げないのはその宣言と、98年に作った「55年計画」。その2つを曲げるものでなければ、後は自由にやってくださいというスタンスなんです。

それはやりやすいですね。

報酬も自分たちで決めてもらってますから。報酬って一番、不満がたまりやすいところでしょう。物事を決めるときは、不満が一番出ないやり方にすることにしているんです。不満がたまるとモチベーションが下がりますからね。

大胆ですねえ。その信頼はどこからくるんでしょう?

僕は性善説ですから。悪いことがあったとしても浄化作用が働く仕組みにしてますし。

熊谷さんの人を見る基準って、どこになるんですか?

愛ですかね。愛があるかないかで、行動も、会議に上がってくる企画も全部違う。愛がなければ長持ちしないですから。

わかります。僕も最近、「愛がない」って社員を怒ったばっかりですよ。さて、もっといろいろうかがいたいのですが最後に。御社の今後も含め、ITの未来像についてはどうお考えですか?

ITはずいぶん進歩しましたけど、一日にたとえたらランチ前くらい。まだまだいろんな新しい可能性があると思ってます。この産業はチャンスもあるし、人を笑顔にもできる。経営者として、僕は一生をここに賭けると決めてます。

その心意気が社員にも伝わるんでしょうね。

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