株式会社ベルーナ 安野清

Guest Profile

安野 清(やすの・きよし)

1944年埼玉県生まれ。68年9月、創業。77年に友華堂(現ベルーナ)設立、代表取締役社長に就任。83年より衣料品の通信販売を開始。以後、商品や事業の拡大、販路の多角化を図り、現在は顧客データベースを活用した『通販総合商社』としてさらなる進化をとげている。11年3月期売上高は1034億円。11年12月、経団連入会。

特集メディアとインフラのマッチングでさらなる成長を目指すベルーナ

1.「顧客志向・顧客密着」を追及 一三〇〇万件のデータを蓄積

 一九八三年に衣料品の通信販売を開始して以来、今日まで、弊社では衣料品にとどまらず、ファッション雑貨、インテリア、さらには食品、ワイン、サプリメントといった専門分野を通じて、多彩な商品を提供し成長を続けてきました。その基盤にあるのが「顧客志向・顧客密着」という企業姿勢であり、″ 健全なる冒険 〟の精神です。
 お客様の衣・食・住・遊を豊かにすることがベルーナの使命であると考え、「顧客志向・顧客密着」を追及してきました。潜在ニーズや流行、ライフスタイルの変化を敏感にキャッチして、人々の暮らしを豊かにする魅力的な商品を開発・提案、いち早くお客様の手元にお届けする。そうすることで、多くのお客様からの支持を得てきました。
 弊社は三〇年近くにわたる通信販売事業を通じて培った、一三〇〇万件にも及ぶ膨大なデータベースを保有しています。このデータベースを中心に、「ノウハウ」「インフラ」「情報」「資金」「人材」という五つの経営資源を駆使し、複数の事業から生み出されるシナジー効果を成長のドライブに、安定性、成長性、収益性を実現する。これが、弊社が目標としている「通販総合商社」というビジネスモデルです。

2.成長エンジンは三事業のシナジー効果

 現在、データベースを軸に展開している事業が、総合通販事業、専門通販事業、ソリューション事業の三事業です。
 衣料品に始まり、お客様のニーズやライフスタイルの変化に応えるかたちで、品揃えの幅を広げてきた総合通販事業は、五〇~六〇代のシニア女性をターゲットに成長してきました。
 近年は、パソコンやモバイルなどのWebメディアによるEC(Eコマース)の展開も強化しており、EC売上高は年々増加、ここ数年、三〇%超の成長を遂げています。若年層、ミセス層ともに利用が日に日に増えています。
 お客様の満足度を高めるために重視しているのが、「商品」「メディア」「サービス」の三大要素です。企画力を発揮し、品質を追及しながらよりよい「商品」を求める。商品にふさわしい表現を磨き、タイミングよく「メディア」を活用して紹介する。お客様が心地よく快適に思われる「サービス」を追及する。これらが三位一体となってこそ、お客様に満足していただくことができると考えるからです。
 食品やワイン、化粧品やサプリメントなど、ジャンルを特化して展開している専門通販事業は、カタログ等での豊富な情報提供とお客様との親密なコミュニケーションにより、根強いファン顧客を獲得し、発展成長させています。
 たとえば、ワイン専門通販「My Wine CLUB(マイワインクラブ)」は、ワイン通販の売上げシェアではトップクラスを誇っています。化粧品の専門通販「オージオ」、グルメと花が楽しめる「グルメ友の会」、サプリメントと健康食品の「リフレ」、さらに看護師向けの通販雑誌「ナースリー」など、衣・食・住・遊に関するさまざまなジャンルをカバーしながら展開しています。
 この専門通販事業の特長は、年間コースや定期購入などの反復継続した販売方法にあります。カタログには商品の紹介だけでなく、暮らしに役立つ情報や専門的な情報を掲載しています。″ 読んで楽しめる 〟誌面づくりにより、他の通販とは違う楽しさを提供できると考えます。
 長年の通販事業で培ったインフラやノウハウを活用して、法人のお客様のさまざまなビジネスシーンをサポートするのがソリューション事業です。弊社で保有する膨大な顧客データベースを活用し、通販カタログや商品と一緒に、チラシやサンプルなどの販促物を送ることができる「ベルーナダイレクト」は、ネットの利用機会が少ない五〇代以上のお客様との接点として、パートナー企業様にご利用いただいています。
 ソリューション事業のもう一つのサービスが「通販代行サービス」です。通信販売は現在の小売業態では数少ない成長分野だけに、新規参入を考えている企業は少なくありません。しかし、商品の仕入れは独自ルートでなんとかなっても、物流倉庫でのストック、コールセンターでの対応、お客様への発送までとなると、自前で整備するのに時間もコストもかかります。そこで弊社が持つ通信販売のインフラやノウハウを活用し、パートナー企業の通信販売ビジネスをトータルにサポートしています。

3.時代の変化を見逃さず通販総合商社の進化は続く

 弊社が通信販売を手がけて三〇年近くになろうとしています。シニア層向けの衣料品を入り口に、ファッション雑貨、インテリアへ多彩な商品を展開し、いまでは登録会員は一三〇〇万人以上。なかでも、六〇~六四歳の女性の方は、約四人に一人が弊社のお客様になっていただいております。
 時代が変わり、お客様の購買行動に影響を及ぼすメディアも多様化しています。弊社では紙メディア(カタログ、チラシ)と、インターネットやモバイル等のECとを効果的に用いて、新規顧客の獲得を図ってきました。ここ数年で、とくに二〇代後半から四〇代女性の層がシニア層に次ぐボリュームゾーンに育ちつつあります。
 従来から積極的に取り組んできた、データベースマーケティングを中心にした商品開発、サービス面での数々の施策が奏功し、新規のお客様の獲得はもちろん、リピート率も着実にアップしてきています。その結果、アクティブな会員の方が順調に増えてきています。
 弊社の成長をさらに後押ししてくれるのが、通販ビジネスに新規参入する企業の増加です。弊社が提供する「通販代行サービス」は、ビジネスチャンスを確実につかまえたいと考えている参入企業からの引き合いも多く、通販事業を上回る勢いで成長してきています。弊社がこれまでに培ってきた通販のノウハウ、一三〇〇万件の膨大なデータベースに基づく商品開発や顧客へのアプローチ手法が、弊社に新たなビジネスチャンスを生み出してくれています。
 弊社では、今後とも多角的なアプローチで新たな付加価値を創造しながら、人々の毎日を輝かせる「通販総合商社」として進化を続けていきます。

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