大手企業の収益が改善し、国内消費が緩やかながらも活況を呈しています。これは日本がようやくデフレからインフレへと移行し始めたことを意味しています。TKPが運営する貸会議室をはじめとした施設利用ニーズはますます増加傾向にあります。またホテルの宿泊稼働率も改善されており、その追い風が宴会施設の利用率アップへとつながっています。

 TKPはおかげさまで2014年2月期は150%増の120億円の売上げを達成しました。しかしまだ、当社が想定する業界全体の市場規模5000億円の、ほんの2%強に過ぎません。当初、創業10年で300億円規模は十分に達成可能と考えていましたから、裏を返せば、まだまだ伸びしろは十二分にあるというわけです。

 

 

創業時のビジネスはデフレ期の成長モデル

 当社の今年のスローガンは「スピード! チェンジ! チャレンジ!」です。当社にはさまざまな営業アイテムがありますが、マイナーチェンジから抜本的フルモデルチェンジ、さらにはニューリリースまで、小さな変革から大きな変革に至るまでをチェンジというキーワードに込めています。

 そこで私たちがまずやるべきことは、商品設計の抜本的変更です。

 先にホテル業界の宿泊稼働率が上昇してきたと書きましたが、おおよそホテルの売上げの半分は宴会によるものです。つまり宿泊稼働率の上昇は、そのまま宴会施設利用率の上昇に直結します。

 ホテルはランドマークという役割を果たしながらも、そのブランド力を武器に、高額だが便利で時間的ロスがないことで評価を得てきました。現在、TKPはそうしたホテルでの宴会施設利用というビジネスニーズを自社に取り込むことに主眼を置いています。ホテル業界の宿泊稼働率上昇は、デフレからインフレへの移行を示しているわけですから、そこに経営資源を集中しなくてはいけません。TKPのブランドでいえば、ガーデンシティやカンファレンスセンターがホテルでの宴会施設ニーズを満たすものですが、今後、TKPは宴会施設利用ニーズに軸足を置いたサービスへと変革するということです。

 思えば、創業時のコアビジネスは貸会議室の運営でした。当時はデフレ時代だったからこそ、その潜在ニーズを顕在化でき、ブルー・オーシャンへと漕ぎ出すことに成功し、現在のような圧倒的差別化戦略を確立できたのだと思います。

 しかし、経済がデフレからインフレへと変化してくると、従来の延長だけでは次なる成長は見込めません。デフレからインフレへの転換局面では、まず優良物件からいち早くインフレ化していきますが、そうなったときには、仮に高い仕入れコストとなっても、より利便性の高い優良物件を確保することが重要になってきます。つまり、いくらでも安い優良物件を仕入れることのできたデフレ期と、インフレ期では、ビジネスそのものが大きく変わるということです。そういうことから、今後、TKPは空前の事業投資をしていきます。これは創業時に作り上げたオンリーワンのビジネスモデルを自らの成長のために、自らが壊すということにもなります。

 

 

川下から川上へのチェンジ!特化型旅行業への挑戦

 もう一つ、これから先、TKPは未知の領域にも挑戦していきます。

 私たちTKPは、創業以来9年間で8万社あまりの顧客を獲得してきました。特にヘビーユーザーには専属担当者をおき、顧客企業のニーズに可能な限り応える体制を目指してきました。それはTKPを日常の企業活動のインフラの一部として位置づけてもらうためで、そうならなければ、持続的成長はないと考えていたからです。

 ベンチャー企業として、それを実現するには、2つの条件をクリアする必要があると考えていました。

 一つはエンドユーザーを国内外で獲得できているかどうかです。しっかりとした顧客基盤を持ち合わせているということは、それは顧客にとってなくてはならないインフラであることを意味します。

 もう一つは、既存のビジネスであっても進化を続けられるかどうかです。TKPは貸会議室という古くからありながら、大手が存在しない市場で成長し、ナンバーワンとなりました。宴会施設では、ホテルに占められていたシェアを取りにいきました。しかし、これらはまだまだ川下の領域です。川上を見ればもっと大きな市場があり、そこは大きな旅行会社に支配されています。

 現在TKPでも旅行業の許認可を取得していますが、それはまだ当社施設を利用する顧客企業への付加サービスの領域を出ていません。ここに大きな「チェンジ」の要素があると考えています。川下から川上までを一気に貫くことができるビジネスモデルをTKPが構築していくためには、旅行会社と同等の基盤を再構築する必要があります。しかし、既存の旅行会社と同じことができるだけでは誰も振り向かないでしょう。これまでTKPはビジネス利用に徹底的に特化することで、利用価値を最大化してきました。ですから、旅行会社としての機能においても、ビジネス利用に特化したモデルを作り上げ、戦っていくことが最適だと考えています。

 自社が最高益をたたき出しているときに、イノベーションを成し遂げるのが経営者としての責務です。〝最高〟というのは、最低がもうすぐそこまで来ていることを意味しているわけで、「流れを変える」「次のビジネスへ投資をする」といったことは、利益を出している会社にしかできません。私は、際限のない目標を立て、やるべきことの優先順位を常に自問自答しています。「どうやったら、あと10年で売上げ1000億円企業になれるだろう」と考え、「それにはいまやるべき優先順位は正しいのか」を自分に問いかけ続けます。

 このように、終わることのない変革への挑戦を持続することは、他社の追随を許さないだけでなく、ブルー・オーシャンと呼ばれる新市場を発掘することへつながっているのです。

 

 

*『CEO社長情報』vol.12掲載